hiyamizu's blog

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伊岡瞬『白い闇の獣』を読む

2023年03月03日 | 読書2

 

伊岡瞬著『白い闇の獣』(文春文庫、い107-3、2022年12月10日文藝春秋発行)を読んだ。

裏表紙にはこうある。

小6の少女・朋美が誘拐され、殺された。捕まったのは少年3人。だが少年法に守られ、「獣」は再び野に放たれた。4年後、犯人の1人が転落死する。失踪した朋美の父・俊彦が復讐に動いたのか? 朋美の元担任・香織はある秘密を抱えながら転落現場に向かうのだが――。“慈悲なき世界”に生きることの意味を問う、著者集大成!

 

滝沢朋美の小学校の卒業式の翌日は誕生日で、母・由紀子父・俊彦と家族パーティーを予定していた。朋美は傘を持って俊彦を迎えに行こうと家を出たが戻らなかった。朋美は多摩川の河川敷で、暴行死体で発見された。知らせは先日まで朋美の担任だった北原香織にも届く。

捕まったのは3人の少年だったが、少年法に守られ、被害者家族にもその名は知らされなかった。朋美の氏名・住所・顔写真、そして被害の詳細までさらけ出されたのに。
民事事件として告訴すれば調書が手に入り、加害者の氏名なども知ることができると聞いたが、数百万円を弁護士に支払う必要があるという。

 

結局彼らは数か月から1年半で社会に出てきた。4年後、犯人の1人、19歳の小杉川は7階の自宅ベランダから転落死した。教師を辞め自宅でできるフリーの仕事に変わっていた香織は、ついつい転落現場に行ってしまったが、そこでライターの秋山満に呼びかけられる。続いて、もう一人の犯人・柴村悟19歳がビルから転落死し、残るのはもっとも凶悪な山岡だけとなった。

朋美の父・俊彦が復讐しているのだろうか? 山岡はどこにいるのか? 香織が自分を責める訳とは?

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

まったく反省の心がないサイコパス(反社会的パーソナリティ障害?)ともいうべき殺人者が少年であったという小説であり、「いやみす」(読んでいていやになる)小説だ。

そのうえ、朋美の父の俊彦が復讐したいのか否か、はっきりせず、香織はなんでビクビクしながら自分から事件に関わっていくのかわからず、イライラする。

といってもこれらはこの小説に対する評価ではなく、読んでいる私の感情の問題なのだが。

 

更生させることだけが少年法の目的と思わせる記述がある(?)が、更生させるのは無理な少年もなかにはいるだろうと思う私は、被害者側の心情を思い、イライラしまくった。それが著者の狙いだと思うと、余計に腹が立つ。
もちろん、感情も摩耗している年寄りの私は、本気で怒っているのではありません。一方では、こんな本があって良いし、心楽しい本ばかりでもまずいとは思っているのですが。

 

題材にイラついていて、本自体の評価をする気になれないですみません。

伊岡瞬の略歴と既読本リスト

コメント
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