hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

生兵法は大けがのもと

2023年03月01日 | 日記

 

椅子に座ってテーブルに肘をついて、ボーッとリビングを眺めていた。

「この部屋も年寄りじみて、いや年寄りらしく地味な色が多いな。赤色はないのか? 赤は?」

 

改めて室内を眺めて、赤色を探してみた。テーブルの上の目の前に多少黒みがかった深紅の湯沸かし器がある。目立ちすぎると思ったのだが、いつでも目の前にあると、見ているはずだが少しも目に入らない。

私の後ろにある明るい赤色のエスプレッソマシンは、コーヒー好きの私へのお嫁さんからのプレゼントだ。当初は毎日数回使っていたが、女房が飲まなくなってからは、午前中に一杯飲むだけで、ほとんど今では存在を意識することはない。

 

リビングの中心にある小さな台に生花がいけてある。黄色いバラ3本、ピンクのバラ2本、蘭の一種の白いデンファレ、パラパラとごくごく小さな白い花が広がるカスミソウ。そういえば、豪華な造花のアレンジメントもあったが、一年もたたずに目に入らなくなり、しまい込んでしまった。以後、毎月2回生花を届けてもらっている。生花は水替えの手間が必要だし、夏などすぐに衰えるので取り去って、一本一本少なくなってしまう。首ががっくり垂れたガーベラなどはちょん切って一輪挿しにしてまたしばらく楽しんでいるのだが。月々の生花は変化していく季節の花を楽しむことができ、徐々に花開き、やがて枯れていく過程を毎日見られるのも趣があるものだ。

 

他に、赤いものが無いかもう一度顔を上げてみると目の前の女房が赤といっても、えんじ色のカーデガンを着ていた。普段何を着ているか、ほとんど意識していない。おそらく、毎日のように着ているものだろう。
スーパーに一緒に買物に行って、何かに気をとられているうちに遅れ、はっとして女房がどこにいるのか探すときに、何を着ていたのかいつも思い出せないので困る。女房の格好に目がいかないのは愛情とは無関係だと思うのだが、「要するに関心がないということなのよね!」と、なかなか理解が得られない。いや、最近はそんなことさえ口にすることもない。

 

30年以上前、会社で日本人の男性ももう少し奥さんに気を使った方が良いとの話で盛り上がったことがあった。当時、車で十分ほどのところにあった自宅に戻り、玄関を入ると、女房が「お帰りなさい」と出迎えてくれた。ふと見ると何か雰囲気が違う。「ここだ!」と思い、すかさず「美容院へ行ったね」と言うと、女房はプイと横を向いた。

 

「もう一週間も前です!」 生兵法は大けがのもとである。

女房も生花と同じく変わっていくからこそ、2人の歴史と共に趣を増すのだと思っております。はい。

コメント (6)
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