hiyamizu's blog

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佐藤優・香山リカ『不条理を生きるチカラ』を読む

2020年11月03日 | 読書2

佐藤優・香山リカ著『不条理を生きるチカラ』(2020年6月21日ビジネス社発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

 私がこの対談を通して畏友・佐藤優さんに訊きたかったことは、次の問いに集約される。「この世の不条理、人生の不条理は普遍的、本質的なものか。それとも社会的、政治的なものなのか」(中略)「事態をできるだけ世界の中で、歴史の中で、理性の鏡に照らしながらとらえてみる」という佐藤さんに教えられた基本は忘れず、「今の自分にできることは何か」を考えている。    (香山「あとがき」より)

 

裏表紙にはこうある。

 現下の日本の状況は危機的だ。(中略)そこから脱出するのに有効なイデオロギーも啓蒙の詩想かナショナリズムしかないのではないかという仮説を私は持っている、この点について、ポストモダン思想に通暁し、この思想の「伝道者」の一人である香山リカ氏と私は以前から掘り下げて話をしてみたいと思っていた。      (佐藤「はじめに」より)

 目に見えないものによって生命や日常生活を送るための経済的基盤も脅かされる。そんな不安が募った今、疾病が歴史的に克服されつつあるという話は、「幻想」にすぎない。  (佐藤「序章」より)

 

はじめに 佐藤優

序章◇「コロナ禍」という不条理
第1章◇私たちのポストモダン体験
第2章◇不条理に向き合わない「ポストモダン」
第3章◇なぜ不条理が不条理のままに放置されるのか
第4章◇不条理に染まるメディアと社会
第5章◇カルト、スピリチュアルをめぐる不条理
第6章◇言語と身体をめぐる不条理
第7章◇不条理の視点からポストモダンを検証する
第8章◇ナショナリズムか啓蒙の思想か
最終章◇不条理の克服へ向けて

あとがき 神の声を求めるヨブのように 香山リカ

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)

香山さんと佐藤さんという個性豊かな二人の対談だが、哲学的?なテーマでのやり取りが多く、付いていけない。こちとら、そもそも「ポストモダン」と言われてもかろうじて浅田彰を思い出すくらいで、チンプンカンプン。

私には、「ポストモダンの欠点は、価値相対主義により「面白ければよい」「それぞれ好なようにすればよい」と、自己愛を満たすことに集中して、世の中の不条理に目を背けることらしい」と読めた。

 

イスラエルの歴史学者ハラリのベストセラー『ホモ・デウス』の話などされても読み飛ばすしかない。

 

香山さんがネットで叩かれ、ぼやきながら、反論し、一方で精神科医としてネトウヨに同情するのは、読んでいて興味がわく。佐藤さんは、なんでもあまり関係ないソビエトの話と神学論の自分の庭に話を持って行くので、話が深まらない。

 

香山リカの略歴と既読本リスト

 

佐藤優(さとう・まさる)
1960年東京生まれ。作家・元外務省主任分析官。
同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。
2002年背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され、2009年最高裁で有罪確定し外務省失職。
2005年『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』で毎日出版文化賞特別賞
2006年『自壊する帝国』で大宅壮一ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞受賞

その他、『獄中記』『交渉術』『十五の夏』、米原万里著、佐藤優編『偉くない「私」が一番自由』など。

 

ヘーゲルが言った言葉「ミネルヴァの梟(フクロウ)は黄昏(たそがれ)に飛び立つ」とは、一つの時代の哲学というのは、日暮れてみないとわからないということ。時代の転換期にならないと、その時代精神は読めない。読めるというのは、その時代が終わることを意味する。「ミネルバの梟」は哲学とか知恵という意味。by佐藤

 

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