東野圭吾著『ゲームの名は誘拐』(光文社文庫ひ6-9、2005年6月20日光文社発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
敏腕広告プランナー・佐久間は、クライアントの重役・葛城(かつらぎ)にプロジェクトを潰された。葛城邸に出向いた彼は、家出してきた葛城の娘と出会う。“ゲームの達人”を自称する葛城に、二人はプライドをかけた勝負を挑む。娘を人質にした狂言誘拐。携帯電話、インターネットを駆使し、身代金三億円の奪取を狙う。犯人側の視点のみで描く、鮮烈なノンストップ・ミステリー!
2003年には『g@me.』のタイトル、藤木直人、仲間由紀恵主演で映画化された。
やり手の広告クリエイター・佐久間は、日星自動車のイベントのプロジェクトを、日星自動車の副社長・葛城勝俊の一声で潰される。屈辱感で酔っぱらった佐久間は、ゲームの達人なら俺は負けない。勝負したいと、葛城の邸宅まで行ったが、塀を乗り越えてきた葛城の娘・樹理と出会う。
家に帰ろうとせず、遺産だけはいただきたいという樹理に、佐久間は、狂言誘拐を持ちかる。
佐久間駿介:広告代理店『サイバープラン』(社長は小塚)のやり手の広告クリエイター。多くの女性と関係を持ち、仕事でも自信満々。育った家庭の影響なのか、状況にあった仮面を被っていると考えている。
葛城勝俊:自動車会社『日星自動車』の会長の息子で副社長。実力で社内を抑えている。商売はゲームで、勝たねばならないと豪語。
葛城樹理:葛城勝俊の長女で大学生。愛人の子で途中から葛城家に引き取られたが、勝俊の妻と異母妹の千春には笑顔で無視され、肩身の狭い思いをしている。千春と口論となり、葛城家を飛び出した。
彼女がやや吊り上がり気味の目を見開いた。いかにも気が強そうだが、そうすると一層美人になる。(p29)
東野さんがお好きな、いつもの「吊り上がり気味の目」で、ニンマリ。
初出は「Gainer」2000年10月号~2002年6月号、「青春のデスマスク」を改題。単行本は2002年11月刊行。
私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
葛城と佐久間のメール、FAX、電話を使った駆け引きが面白い。とくに、犯罪者の佐久間側からのみの語りなので、警察も登場しないし、被害者側の思惑がわからずあれこれ考えてしまう。
私は映画を先に、と言ってもだいぶ前だが、見てしまっていたので、大筋は覚えていたが、それでも面白く読んだ。最後の結末は映画と違っていて(多分)、混乱したが。
この本で東野さんの本は多分66冊目。