hiyamizu's blog

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西村京太郎『華麗なる誘拐』を読む

2020年11月17日 | 読書2

 

西村京太郎著『華麗なる誘拐』(河出文庫に13-1、2020年7月20日河出書房新社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

「日本国民全員を誘拐した。身代金5千億円用意しろ」――前代未聞の要求が首相に突き付けられた。警察から協力要請を受けた名探偵・左文字進が解決に奔走する中、事件は予想だにしない展開を迎える!
「文句なしにぶっ飛んだ傑作である」(佐々木敦氏・文庫解説より)――日本誘拐ミステリー史に燦然と輝く名作が、待望の復刊!

 

このとんでもない誘拐事件には根本的疑問がある。

日本国民全員をどうやって誘拐し、証明するのか?

どうやって一億円入りのスーツケースが5千個にもなる5千億円を受取るのか? 

 

話はこう始まる。

探偵事務所の入ってるビルの喫茶店で左文字進と史子がコーヒーを飲んでいると、隣のテーブルの男女が毒を飲まされて死亡した。二人が警察に行くと、以前「巨人軍誘拐事件」で協力した矢部警部がいて、協力を依頼され、首相官邸にかかってきた電話の録音を聞かされた。

 

ブルーライオンズの一員を名乗る男は「本日『オリンピック作戦』を発動し、日本国民1億2千万人を誘拐した」と告げ、5千億円の支払いを要求した。
翌日の電話で、秘書官の「君は、狂ってる」に対し、男は「私のIQは150だ。」と答える。
3回目の電話には首相が出て、最後に男は人質を殺すと宣言する。そして、男女が毒で殺された。
さらに札幌で男が射殺され、旅客機が墜落した。

 

登場人物

左文字進:左文字探偵事務所所長。髪は黒いが眼が青い。1945年ロスアンゼルスで日本人の母とドイツ系アメリカ人の父との間に生まれた。コロンビア大学で犯罪心理学を学び、探偵事務所で働き、両親病死後、日本へ。

左文字史子(ふみこ):所長秘書。進の新婚の妻(旧姓藤原)。

矢部警部:警視庁捜査一課

渡辺:総理大臣秘書官

U大学特別教室卒業生の天才達:佐藤、菅原、高橋、森、村上、牧野英公、双葉卓江、串田順一郎、野上知也

三神徳太郎:ワッペンを作る町工場を経営。妻はふみ代。一人息子は一男。

ブルーライオンズ:コード・ネーム“蒼き獅子たち”を名乗る犯罪者たち

 

本書は1977年トクマ・ノベルズ、1982年徳間文庫、以降1987年、1995年、2000年、2004年刊行された作品の再文庫化。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき)(最大は五つ星)

 

日本国民全員を誘拐するという発想が新鮮だ。5千億円の巨額の身代金の受け取り方法も驚異的だ。さらに33年前の作品ということに驚かされて五つ星になった。

細部に多少の疑問点もあり、探偵の左文字進にも時代を感じるが、でも傑作だろう。なにしろ、33年間で7回目の再発刊なのだ。

 

 

西村京太郎(にしむら・きょうたろう)

1930年東京生まれ。公務員や私立探偵など様々な職業を経て、作家生活に入る。
1963年『歪んだ朝』でオール讀物推理小説新人賞し、デビュー。
1965年『天使の傷痕』で江戸川乱歩賞受賞。
1978年『寝台特急殺人事件』が大ヒットし、トラベルミステリーブームが起こる。
1981年『終着駅殺人事件』で日本推理作家協会賞受賞
2019年、十津川警部シリーズで吉川英治文庫賞受賞

2001年に神奈川県湯河原に西村京太郎記念館を開設。

著作は600冊を超える。

 

 

「オリンピック作戦」:太平洋戦争中、アメリカ軍は日本が降伏しない場合には、11月1日に九州南部への上陸を考えていた。この上陸作戦の名。それでも降伏しなければ、2か月後に関東平野に進攻する「コロネット作戦」を考えていた。

狷介(けんかい):心が狭く自分の考えに固執する

 

 

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