hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

岡嶋二人『99%の誘拐』を読む

2020年11月05日 | 読書2

 

岡嶋二人『99%の誘拐』(講談社文庫お35-27、2004年6月15日講談社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして十二年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第十回吉川英治文学新人賞受賞作!

生駒洋一郎:イコマ電子工業を創立。のち吸収されたリカード社の事業部長の昭和50年胃がんで死亡。
生駒慎吾:洋一郎の息子。昭和43年5歳の時、誘拐される。のちリカード社に入社しコンピューター技術者に。
間宮富士夫:洋一郎の片腕。後にリカード社の中央研究所所長。
堀内:刑事。課長。

長沼栄三:福山市鞆(とも)で喫茶店経営。釣り好き。
武藤為明:リカード社の三代目社長。妻は照枝。
葛原久高:武藤の娘婿。リカード社の専務取締役。妻は苑子。
葛原兼介:久高の中二の息子。パソコン通信のゲーム「アスカ」に夢中。
馬場:警視庁捜査一課特殊捜査班。雪村刑事は部下。

 

岡嶋二人(おかじま・ふたり)

1950年生まれの井上泉(現・井上夢人)と、1943年生まれの徳山諄一(現・田奈純一)の共作筆名。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞受賞
1986年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞受賞
1989年本書『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞受賞
1989年『クラインの壺』刊行と同時にコンビを解消

この作品は、1988年10月に徳間書店より刊行され、1990年8月徳間文庫に収録。

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

ミステリーファンなら、歴史的通過点として抑えておくべき一冊だろう。

誘拐小説の最高傑作のひとつと聞いて読んでみたのだが、30年以上前に書かれたのに、コンピューターを駆使したほぼ完全誘拐犯罪の話とは確かにすごい。もちろん現在の技術水準からみるともっとスマートにできることばかりなのだが。

「ひとさらいの岡嶋」の異名があったという著者の最高傑作との評判。なにしろ、誘拐犯自身が身代金の運搬役となったり、誘拐された本人が誘拐犯になるという設定なのだ。

からくり、謎解きを中心とするミステリーは、絵空事感が否めないので、面白いが、熱中はできない。「フムフム、どんな仕組みかな? お手並み拝見といきますか」と冷めた目で読んでしまう。それでいいのだが。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする