hiyamizu's blog

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南杏子『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』を読む

2020年11月07日 | 読書2

南杏子著『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』(2019年9月17日講談社発行)を読んだ。

 

講談社の内容紹介は以下。

ある医療事故をきっかけに都心の大病院を飛び出した女医・菜々子は、兄が経営する東京近郊の個人病院で働き始める。それから間もなく、中学時代の同級生に誘われ地元の市民会館で、ステージに立つ出演者たちの医療サポートを請け負うことになってしまう。最初に担当したのは高齢のお笑い芸人。転倒による大腿骨骨折を疑われたが、予定のステージにどうしても立たなければならないという。だが検査の結果、ほかの病気が見つかる。菜々子は彼をステージに立たせてあげられるのか!

 

主要登場人物

葉村菜々子:赤坂の権医会中央病院勤務医だったときに、担当した影浦梨花が自殺し、病院を追われて玉手市の兄が院長の葉村病院で働いている。
熊田久満:クマやん。菜々子の中学の同級生。玉手市役所勤務。

「赤黒あげて、白とらない」

末期癌のお笑い芸人平目将之介ヒラメ師匠、妻は蝶子)が、人生最後の演芸会を企画。菜々子医師が、市民会館のステージに立つ出演者を医療支援するステージ・ドクターとなる。

 

「屋根まで飛んで」

長尾涼子が主宰する音楽教室の発表会に、白血病の少年・木場大地(弟は歩夢、友人剛太)がどうしても出たいとハンストする。

 

「転ばぬ先の、その先に」

玩具メーカー社長で70歳の朝倉悦子は歩行困難だが、創業記念祝賀会の壇上で是非とも挨拶したいと、リハビリに頑張る。副社長の息子・朝倉誠と専務・仙波は引退させるつもり。

 

「春歌う」

人気の演歌歌手・川瀬春馬のコンサートが市民会館で行われる。招待客は全員75歳以上の後期高齢者で病を抱える者が多く集まる。

「届けたい音がある」

和太鼓サークル「万世(まんせい)太鼓」のメンバー12人は慢性疾患持ちぞろい。今年こそはなんとしても夏祭りのステージで演奏したいと願う。代表は橋口美和で、リーダーは潰瘍性大腸炎を持つ夫の瑛太で、娘はエリ

 

「風呂出(い)で詩へ寝る」

菜々子は平均年齢70歳を超える120人の市民合唱団の医療支援を頼まれる。団長は松崎幸正で、指導者は丹羽竜也。メンバーには梨花の母・影浦祥子がいた。なんと指揮者の丹羽はアルコール依存症だった。



初出:「小説現代」2017年6月号~2018年10月号、「風呂出で、詩へ寝る」は書き下ろし

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

なんでもかんでも結局は上手くいくというご都合主義の展開。著者だけが楽しんで書いている。

 

菜々子は医者ながら「絶対」ということばを度々口にする。そのために、裏切られたとして患者が自殺し、前の病院を辞めなければならなかったにもかかわらず。医者には治療にかかわることで「絶対」はない。それなのに強い意志を示すための「絶対」と言ってしまう。そして著者もそれを肯定する書き方をしている。
物語とはいえ、けしからんと思う。

 

 

南杏子(みなみ・きょうこ)の略歴と既読本リスト

 

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