hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

中山祐次郎『泣くな研修医』を読む

2020年11月29日 | 読書2

中山祐次郎著『泣くな研修医』(2019年2月5日幻冬舎発行)を読んだ。

 

幻冬舎の宣伝文句は以下。

傷ついた体、救えない命――。
なんでこんなに無力なんだ、俺。
雨野隆治は、地元・鹿児島の大学医学部を卒業して上京したばかりの25歳。
都内総合病院の外科で研修中の新米医師だ。
新米医師の毎日は、何もできず何もわからず、先輩医師や上司からただ怒られるばかり。
だが患者さんは、待ったなしで押し寄せる。
生活保護で認知症の老人、同い年で末期がんの青年、そして交通事故で瀕死の重傷を負った5歳の少年……。
「医者は、患者さんに1日でも長く生きてもらうことが仕事じゃないのか?」
「なんで俺じゃなく、彼が苦しまなきゃいけないんだ?」
新米医師の葛藤と成長を圧倒的リアリティで描く感動の医療ドラマ
現役外科医にしてベストセラー『医者の本音』著者、小説デビュー作!

 

続編『逃げるな新人外科医 泣くな研修医2』が4月に発売された。

 

医学部を卒業し、鹿児島から上京した雨野隆治は、東京下町のベッド数500床の牛ノ町病院の外科で研修医として働き始めて数カ月。隆治は、後期研修医で美人だか厳しい口調の佐藤ともに夜間外来患者を診ていた。そこに、救急要請を受けて交通事故の両親と子供が運ばれてきて、上司の外科医・岩井ともに対応する。隆治は解らない事だらけでウロチョロするばかり。二人の交わす略語もわからない。挙句の果てに手術直後に失神してしまう。

それでも彼は集中治療室に入った5歳の拓磨をなんとしても救いたいと思う。

 

94歳、生活保護、身よりなし、認知症が入っている胃がん患者の山田さんについては治療はしない(BSC)と会議で決まる。納得できない隆司は、同じ研修1年目の川村へ疑問をぶつけるが、川村は……。

そして次々と、診断、外科手術、告知、看取りと患者への対応を迫られ、とまどい、悩み、先輩に導かれる。

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

新人の医者がとまどいながら必死に一人前の医者に成長する様子がよく書けている。臨場感のあるリアルな手術の描写、医者間の緊迫した会話などは圧倒的でもある。さすが現役外科医師。

 

連日の病院泊まり込みで頑張っていて、たった一晩、見守りせずにそのまま外に出て遊んだだけなのに、先輩医師・佐藤は雨野に言う。

「研修医といっても医者は医者。同じ医師免許一つでやってるんだよ」
「医者はね、ミスをすると患者を殺す仕事なの。それも、一度のミスで」
「学生気分なら、辞めな。医者が命懸けでやらなきゃ患者さんは助からない」

 

ただし、仕事熱心の雨野は、たぶん超超過勤務分は無給だろう。「研鑽」の名のもとでの奴隷労働の実態は非合理、非人道的だ。これを美談とする風潮は間違っている。

 

 

中山祐次郎(なかやま・ゆうじろう)の略歴と既読本リスト

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