hiyamizu's blog

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スティーグ・ラーソン『ミレニアム3上下』を読む

2013年01月31日 | 読書2

著者:スティーグ・ラーソン、訳者:ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利 『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』 上 (2009年7月早川書房発行)、下 (ハヤカワ・ミステリー文庫HM381-6、2011年12月早川書房発行)を読んだ。

全世界で6千万部の大ベストセラー「第Ⅰ部ドラゴン・タトゥーの女」「第Ⅱ部火と戯れる女」「第Ⅲ部眠れる女と狂卓の騎士」三部作の第Ⅲ部だ。

第Ⅱ部の最後で、リスベットはザラチェンコと対決し、双方瀕死の重傷となり、駆けつけたミカエルにより、二人は病院に送られ、金髪の巨人は逃走してしまう。

第Ⅲ部では、ソ連のスパイだったザラチェンコをかくまってきた公安警察内の秘密組織・特別分析班が事件揉み消しと、関係者の抹殺に組織的に乗り出してくる。

リスベットは裁判にかけられることになり、ミカエルは、病院に監禁されているリスベットと巧みに連絡を取り、妹で弁護士のアニカなどと協力し、情報を集め、法廷で戦う。特別分析班の実態を暴くべく捜査を開始した公安警察も動き出し、巨悪との対決となる。
そして、長大なミステリ三部作はついに完結(してしまう)。

初出:原著は2007年発行



私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)(最大は五つ星)

ともかく面白い。密室ミステリー、警察小説、政治小説、小柄なヒロインの型破りの戦い、などなどいろいろな要素が次々と提示されて飽きさせることがない。そして、なんといってもヒロインのリスベット・サランデルが魅力的だ。

登場する女性は皆、戦闘的で男性に負けていないのは気持ち良い。しかし、主人公の色男ミカエルには皆すぐメロメロになってしまうのは、非モテ男としては、少々気分が悪い。

ともかく、スウェーデンの長たらしく発音しにくい名前以外、この小説に欠点は見当たらない。
サランデルの妹がまだ登場していないので、急逝した著者のパソコンに残っていた第四部の原稿200頁ほどに期待したい。



スティーグ・ラーソン Stieg Larsson
1954年スウェーデン北部に生まれる。スウェーデン通信でグラフィック・デザイナーとして20年間働き、英国の反ファシズムの雑誌『サーチライト』に長く寄稿する。1995年、人道主義的な政治雑誌『EXPO』を創刊し、やがて編集長を務めた。日に60本もタバコを吸うヘビースモーカーで、仕事中毒でもあった。パートナーである女性の協力を得て2002年から「ミレニアム・シリーズ」の執筆に取りかかり、2004年に三冊の出版契約を結ぶ

訳者あとがきより
著者は、第三部を書き上げ、第四部の執筆を開始したところで、第一部の発売を待つことなく心筋梗塞で死去した。

ヘレンハルメ美穂
国際基督教大学卒、パリ第三大学修士課程修了、スウェーデン語、フランス語翻訳家

山田美明
東京外国語大学英米語学科中退。訳書『ルワンダ大虐殺』




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