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辻村深月『ツナグ』を読む

2013年01月28日 | 読書2

辻村深月著『ツナグ』(2010年10月新潮社発行)を読んだ。

宣伝文句はこうだ。

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員……ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。



アイドルの心得
熱心ではあったが単なるファンだった平瀬愛美は、突然死した元キャパ嬢でマルチタレントの水城サヲリに会いたいと使者に連絡をとる。死者も一度しか生きている者に会えないというのに、サヲリは愛美に会うという。
地味で友達もいない愛美は、昔、過呼吸で倒れた時、助けてくれたアイドルっぽい人は言った。「世の中が不公平なんて当たり前だよ。みんなに平等に不公平。フェアなんてだれにとっても存在しない」

長男の心得
店を継いだ畠田家の長男靖彦は憎まれ口ばかりたたく頑固者。持山の権利書の場所を聞きたいからと死んだ母親に会う。母も20年ほど前に使者に依頼して父親に会ったという。靖彦が母に会いたかった理由は? 母が父親に会った理由は?

親友の心得
嵐美砂は親友の御園奈津に演劇部の主役を取られる。御園は自転車がスリップして車にひかれて・・・。御園が好きといっていた渋谷歩美、アユミくんが使者だった。

待ち人の心得
土谷がプロポーズした翌週、日向キラリは北海道旅行に行き、戻らなかった。7年経って、使者に会う手はずを頼んだ土谷は、怖くなって、直前で迷う。彼女は、会うことで忘れられても土谷に先に進んで欲しいと会うことにする。

使者の心得
歩美は、病院に入った祖母から使者の役を引き継ぐ。これまでの話が、使者の立場から語られる。そして、歩美の父が母を殺して自殺したという両親の死の真相が浮かび上がる。

初出:「yom yom vol.12~16」



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

死者がこの世に思いを残すという話はよくある。この本は、生きている者が悔いている想いを死者にぶつける話だ。いずれの話も、人の深く優しい心を、想い取らせてくれる。
いつものように、付箋をつけながら読み終えて、数日経過後に付箋のところを中心にパラパラ読み返し

 

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た。評価が下がることなく、静かな感動がまた蘇って来た。いい本だ。

辻村深月(つじむら・みづき)の略歴と既読本リスト



 

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