hiyamizu's blog

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スティーグ・ラーソン『ミレニアム2上下』を読む

2013年01月30日 | 読書2

スティーグ・ラーソン著、ヘレンハルメ美穂共訳、岩澤雅利共訳 『ミレニアム2 火と戯れる女 上下』(ハヤカワ・ミステリー文庫HM381-3、-4、2011年11月早川書房発行)を読んだ。

全世界で6千万部の大ベストセラー「第Ⅰ部ドラゴン・タトゥーの女」「第Ⅱ部火と戯れる女」「第Ⅲ部眠れる女と狂卓の騎士」三部作の第Ⅱ部だ。
第Ⅲ部の訳者あとがきで、ラッセ・ベリストレムの言を引用している。
第Ⅰ部はオーソドックスな密室もののミステリー、第Ⅱ部は警察小説・サスペンス、第Ⅲ部はポリティカル・サスペンスだと言えるだろう。


第Ⅰ部は、原題が「女を憎む男たち」であるように、女性に対する差別、暴力が描かれたが、第Ⅱ部「火と戯れる女」では、女性たちはけっして屈せず反撃する。そして、第Ⅱ部ではドラゴンのタトゥーの女リスベット・サランデルの悲惨な過去が次第に明かされ、彼女の権力への徹底した不信、攻撃されたときのすさまじい反撃の理由が明らかになっていく。
プロローグは、リスベット・サランデルがベッドに縛り付けられたまま43日経過したという13歳の誕生日の場面で始まる。

大金を手にしたリスベットは、ミカエルに対する想いに苛立ち、世界を巡る旅に出る。帰国して豪華な新居を購入し、普通に生活しようとする。

雑誌『ミレニアム』には、フリー・ジャーナリストのダグ・スヴェンソンが、人身売買と強制売春に関する記事を売り込みに来る。ダグとパートナーのミアは、警察官、検事、弁護士、ジャーナリストなど買春顧客を実名で告発したいと申し出る。権力者達の反撃は必須だ。背後のザラという人物が不気味だ。

一方、リスベットにたたきのめされた後見人のビュルマン弁護士は、復讐のため、彼女を憎む人物に連絡し、彼女を拉致する計画が動き始めた。凄惨な連続殺人事件が起こり、彼女は犯人として警察に追われる。

初出:原著は2006年発行、日本では2009年4月に単行本として刊行された。



私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)(最大は五つ星))

型破りのヒロイン、リスベット・サランデル中心の第Ⅱ部はこのシリーズで一番おもしろい。ついに彼女の謎に包まれていた過去が明かされる。
髪極端に短く、鼻と眉にピアス、多くのタツゥー、やせて身長150cmほどの小娘。権威をまったく信用せず、一見で複雑な情報を理解し覚えてしまう、優れたハッカー、難解な数学論文を読む。

彼女に12歳の時に起きた“最悪な出来事”とは何か。殺人犯として警察に追われ、巨悪に襲われながら、『ミレニアム』の発行責任者のミカエル・ブルムクヴィストの応援を得て、彼女の反撃、が始まるが、敵はあまりにも強かった。



スティーグ・ラーソン Stieg Larsson
1954年スウェーデン北部に生まれる。スウェーデン通信でグラフィック・デザイナーとして20年間働き、英国の反ファシズムの雑誌『サーチライト』に長く寄稿する。1995年、人道主義的な政治雑誌『EXPO』を創刊し、やがて編集長を務めた。日に60本もタバコを吸うヘビースモーカーで、仕事中毒でもあった。パートナーである女性の協力を得て2002年から「ミレニアム・シリーズ」の執筆に取りかかり、2004年に三冊の出版契約を結ぶ

訳者あとがきより
著者は、第三部を書き上げ、第四部の執筆を開始したところで、第一部の発売を待つことなく心筋梗塞で死去した。パソコンには第四部の原稿が200頁ほど残っていたという。

ヘレンハルメ美穂
国際基督教大学卒、パリ第三大学修士課程修了、スウェーデン語、フランス語翻訳家

山田美明
東京外国語大学英米語学科中退。訳書『ルワンダ大虐殺』




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