hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

渡辺淳一『孤舟』を読む

2013年01月10日 | 読書2
渡辺淳一著『孤舟』(2010年9月集英社発行)を読んだ。

定年退職、バラ色の第二の人生のはずが、威一郎を待っていたのは、家族との深い溝だった。威一郎は、デートクラブに入会し、ある女性に出会うが・・・。
大手広告代理店を定年退職してはじめて分かった孤独。楽しみにしていた第2の人生に待っていたのは、妻との深い溝だった。やることなすこと家族との断絶を招く。娘は独立、妻は家を出ていき・・・。


大谷威一郎は、大手広告代理店の常務執行役員を最後に60歳で退職。二子玉川の4LDKマンションに妻の洋子と長女美佳の3人で住む。長男哲也は別居の4人家族。
ハローワークにもプライドを満足させる仕事はない。デパートをぶらつき、図書館で時間を潰す。碁会所にも顔を出すが、馴染めない。やることは犬の散歩ぐらいだ。お歳暮と年賀状の激減が辛い。
妻は何かというと外出し、つい「どこへ行く? 俺の食事は?」と聞いてしまい、妻は主人在宅ストレス症候群になる。

初出:「マリソル」2008年10月号~2010年1月号を大幅に加筆訂正
マリソル・オンライン」で全文がネット公開されている。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

前半は、どこにでも書いてある定年退職者の辛さを描いているだけ。書き方は自然で上手いのだが、内容は当たり前過ぎる。普通のおじさんは先刻ご承知なことに主人公はいちいち驚き、怒る。後半、デートクラブの女性が登場するが、・・・。
10年前の典型的会社人間の退職後のようで、これほど無知な男は今時いないだろう。



渡辺淳一(わたなべ・じゅんいち)
1933年北海道生れ。札幌医科大学医学部卒後、母校の整形外科講師のかたわら小説執筆。
1970年『光と影』で直木賞
1980年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学書
その他、『失楽園』『あとの祭り 親友はいますか』『鈍感力』『熟年革命』『老いかたレッスン 』など。




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