hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

上野千鶴子『みんな「おひとりさま」』を読む

2013年01月01日 | 読書2


上野千鶴子著『みんな「おひとりさま」』(2012年10月27日青灯社発行)を読んだ。

第Ⅰ部は、インタビューを受けて上野さんが自分自身について語っている。
娘を溺愛する父への反発、乱れた生活、先が見えないなかで女性学に、女友達に出会う。

第Ⅱ部は、講演録で『おひとりさまの老後』のその後を語っている。

第Ⅲ部は、「みんなおひとりさま」時代の社会的背景について書いたものが集まっている。
成功加齢successful agingは老いたくないという考え方で、高齢者の自己否定だ。「助けてと言える私」が重要。

第Ⅳ部は、「anan」のセックス特集の変遷と、シングルの性の調査結果に関する対談
上野さん相変わらず。「男の好みは今も変わらず、尽くす女、言うことを聞く女、自分に都合のいい女。だからそれに合わせている、悲劇だね。」
シングル女性のパートナーの半分が既婚者。シングル女性のセックスはクオリティが高い。

第Ⅴ部は、団塊世代に対する批判に反論している



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

いろいろなメディアに発表済のものを集めているので個々のテーマはバラバラ。しかし、全体を通してみると、賛否は別として、上野さんの主張の筋が一貫していることがわかる。

第Ⅰ部では、若い時の混沌ぶりを上野さんが正直に(?)語っている。
第Ⅱ部、第Ⅲ部では、高齢者、とくに男性の心得違いを諭す。意外とやさしく。
第Ⅳ部では、下ネタ好きの上野さんがえげつない。既婚者の女性に厳しい上野さんをやんわりと対談相手の医師が和らげる展開が目立つ。
第Ⅴ部では、上野さんの強引なケンカ殺法が健在。




以下、メモ。

 日本の累積婚姻率(40歳までに一度でも結婚したことのある人の率)は、1960年代半ばに男97%、女98%だった。前近代社会には、生涯非婚者が人口の2割近くいた。
 現在、80歳以上の男10人に3人、女10人に8人は配偶者がいない。単身世帯は男19%、女82%。日本の社会政策を男性稼ぎ主型の世帯単位からシングル単位に設計変更すべきだ。


[目次]

I 「私」を語る

1 「女の成熟」って
2 「女遊び」のたのしみ
3 女の友情
4 遠距離介護の経験
5 アラフォーおひとりさまへ



II 「おひとりさま」の老いと死

6 向老学のススメ
7 「男おひとりさま」──幸せに暮らせる人、暮らせない人
8 お墓はいらない私が願うこと



III 「みんなおひとりさま」時代の男と女

9 ひとり旅のススメ
10 シングルはモラトリアムか?
11 女はあなたを看取らない
12 「みんなおひとりさま」時代の社会の設計
13 「おひとりさま」が「安心して死ねる介護サービス施設」の探し方



IV 「おひとりさま」のセックス

14 この40年間で女のセックスは変貌を遂げたか?(上野千鶴子×北原みのり)
15 シングルの特権! 選べるセックス(上野千鶴子×大川玲子)



V 団塊世代はどこへ?

16 団塊世代の女性、これまでとこれから
17 世代間対立という罠



補論 団塊ジュニアが生きる社会
あとがき

上野千鶴子の略歴と既読本リスト




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする