hiyamizu's blog

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梨木香歩『エストニア紀行』を読む

2013年01月14日 | 読書2
梨木香歩著『エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦―』を読んだ。

ロシアに接するバルト3国の一つ、ロシア、ドイツなどにより700年以上支配された歴史を持つ九州ほどの小国エストニア。首都タリンから、古都タルトゥ、オテパー郊外の森、バルト海に囲まれた島々を巡る九日間の旅の記録。

旧市街の地下通路の歴史、民族の1/3に当たる30万人が集り歌った「我が祖国は我が愛」が独立へと動いたという辛く長い被支配の歴史。端正な街並みと緑深い森、素朴でたくましい人々。
重さ500キロの電柱上のコウノトリの巣。キヒヌ島の81歳の歌姫はマウンテンバイクで帰る。森できのこを採り、葦原の運河でのカヌーに乗り、静かな自然と素朴な人に触れる旅。

梨木さんは、自ら「鳥見人」というだけあって、鳥とその環境に関心が高い。また、自然の中でゆったり暮らす人へも共感があり、その懐に飛び込んでゆく。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

エストニア語を禁止され、わけもなく強制連行された被支配の長い歴史を語る建物を巡り、自然と密着してたくましく生きる人々と心を通わせ、様々な鳥達と環境に思いを馳せる旅。興味を持って読むことはできたが、起伏のない大地、沼地、寒い気候、長時間のフライトでは行きたいとは思わない国だ。



梨木香歩(なしき・かほ)
1959年鹿児島県生れ。同志社大学卒。英国留学。
1995年『 西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学書受賞
1995年『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞受賞
『家守綺譚』で本屋大賞3位
2005年『沼地のある森を抜けて』でセンス・オブ・ジェンダー賞、2006年紫式部文学賞受賞
2011年『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門受賞
エッセイ『春になったら苺を摘みに

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