hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

藤原美子『夫の悪夢』を読む

2013年01月12日 | 読書2

藤原美子著『夫の悪夢』(文春文庫ふ34-1、2012年10月文藝春秋発行)を読んだ。

著者は、御茶ノ水大学の数学教授で『国家の品格』の著者藤原正彦氏の夫人。暴君のくせに怖がり屋の夫の変人ぶりの暴露話が痛快だ。素直そうな3人の息子の子育て記など愉しくユニークな家庭の話や、義父の新田次郎、義母の藤原ていの思い出も語られる。

解説で川上弘美さんは書いている。

うらやましいなあと、しんから思います。もしもわたしに、こんなに信頼できる夫がいたなら。たとえ、・・・、服を一緒に選んでほしいのに1秒で「あ、それがいい」とせかそうと、・・・、映画出演の見学に来て「その目尻の皺、メイクさんに描いてもらったの?」と大声で言おうと、それはすべて妻への愛ゆえなのであり、・・・、いや、やっぱりわたしには、無理でした。



新婚生活のころ、洗濯物を干していると、「てい」が「幸せな光景だが、いま、戦争が起きたらどうしますか」と問いかける。満州から1年かかって3人の子供を連れて帰った「てい」はこう言った。

美子さん、正彦をどんなことがあっても戦地に送ってはいけないですよ。そのときには私が正彦の左腕をばっさり切り落としますからね。手が不自由になれば、招集されることはありませんよ。右手さえあればなんとか生きていけますから。



初出:雑誌「ミセス」への3年間の連載エッセイ+書き下ろしで、2010年4月、文藝春秋より単行本で刊行された。



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

口が悪く変人の夫にちょっとだけ言い返し、エッセイを書いて暴君ぶりを暴露する。でも結局、楽しい家庭であることを自慢している。当方は、読んで面白かったから、まあ良しとしよう。著者本人も変人の仲間のようで、やたらと写真が挿入されていて、美人なので嫌味だが、そんなレベルは超えているようだ。



藤原 美子(ふじわら よしこ)
1955年、米国プリンストン生まれ。カウンセラー、翻訳家。
お茶の水女子大学修士課程修了。ハリウッド大学院大学教授、筑波大学附属視覚特別支援学校講師。専攻は発達心理学。父は化学者の田丸謙二、双子の姉は立教大学教授の大山秀子。
『子育てより面白いものが他にあるだろうか』、『我が家の流儀-藤原家の闘う子育て』、
『家族の流儀-藤原家の褒める子育て』


コメント
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