宮崎東病院の入院中の岡原さんの体験談が「第3回心に残るありがとう!大賞」で、優秀賞に選ばれたそうです。
岡原さんは、筋ジストロフィー症です。
これまでの日々を振り返り、自分で立ち上がることも、トイレに行くことも、体の向きを変えることも、なにひとつできないことをみんなに支えられ・・・家族にも何も恩返しができないと思っていた時、弟や妹が、笑って側に居てくれるだけで充分と言ってくれた・・・と周囲への感謝の気持ちを言葉にされたそうです。
筋ジストロフィー症は、ご存知の通り現代医学を持ってしても効果的な治療法が確立されていない“不治の病”で、筋力が日ごとに弱っていきます。
私は大学時代、筋ジストロフィー症の方々の介護ボランティアをさせていただいていました。
毎週日曜日に国立療養所に行き、車いすを押して散歩をしたり、近くの店まで買い物に行ったり、ご家族に電話をかけられるときに公衆電話の受話器を持たせていただいたり・・・時には
“ゲームセンターに行きたい・・・”
“福島の実家に帰りたい・・・”
とのお願いがあり、病院側と交渉し、街まで出かけたり、福祉タクシーと電車で移動して、患者さんの実家で寝泊りさせてもらったこともあります。
介護技術はもちろんのこと、私は患者さんから多くのことを学ばせていただきました。
ある時
「もし体が自由に動くとしたら、何をやってみたいですか?」
と訊ねると
「世界一周旅行がしてみたい!」
「スポーツ選手になってみたい!」
そんな夢が返ってくると思っていたのですが、実際は
「そこに落ちている紙くずを拾ってみたい。」
「今まで押してもらうばかりだった車いすを押してみたい・・・それができたら幸せです。」
日常のなかに、あたり前の生活のなかに幸せが溢れている・・・日常のなかに、あたり前の生活のなかに感謝することが溢れていることを教えていただきました。
苦境は、幸せと感謝へとつながっている。