『狗賓(ぐひん)童子の島』 飯嶋和一
図書館予約の本なので必死に読んだ。
江戸時代末期、大塩平八郎の乱に連座した河内の庄屋の主の、当時6歳の息子(西村常太郎)までが罪を負わされ15歳になったとき、隠岐島に流罪される。
島では大塩平八郎は英雄であり、理解ある村人たちにより、医者として成長していく。
史実に基づいたフィクションだと思うが、とにかく長い。
単行本555ページの長編、ま、歴史が好きでないと(私、好きちゃうのに)なかなか読み切れないね。
私も農家の生まれなので、前半の田作りしていくところはとても興味深く、田を耕し、苗を植えて米を作るという作業が、そうやったそうやったと。
中ほどがなかなか読み進まず(何が書いてあったのやら、コレラや麻疹が流行してその対応とか?)後半の隠岐騒動の辺りは、幕末の外国船の往来事項、廻船問屋の話が混じり、面白く読めて完了。
幕府から新政府になっても年貢制度は変わらず、農民がいかに虐げられていたのがよくわかる。
仕事場の本。『長女たち』 篠田節子
いずれも長女である女性の物語中編3編。
母親が認知症でその介護に退職、生活にも切迫する話、使命感でインド北部の山奥の村に医者として赴任する話、病気の母親に生体腎臓移植を迫られる話。
いずれも親から逃れられない長女の呪縛と葛藤がリアルに描かれている。
息子には遠慮があっても娘には言いたい放題、言われ放題、まあ、他人事ではないです。