

久しぶりに本読みながらゲラゲラ笑えた。
齢80にならんとする伊藤礼翁の、ラブミー農場運営の記録である。
伊藤礼は60歳を過ぎてから自転車に目覚めロードバイクにまたがって走り回り、「自転車ぎこぎこ」「こぐこぐ自転車」などの愉快なエッセイを書いている。
農場が聞いてあきれるが、翁の自宅の庭、わずか12坪のいわゆる家庭菜園という規模のものに、小さな耕うん機まで購入して野菜作りに励む。
家庭菜園であるから、そこそこに思い入れがあり、緻密な農場計画表を作ったり、大好きな慈姑をプラスチック容器で育てたり、にっくき青虫と格闘したり、真夏に草ぼうぼうになってしまって茫然としたり、野菜作りの悲喜こもごも。
一度でも家庭菜園をやったことがある者にとっては身に染みて可笑しい。
何も植わってない農地はそれはそれで心安らぐとも。
夫は5年ほど前に貸農園を借りることを止めてしまったが、たぶん、たかが家庭菜園なのに完璧にやろうと入れ込み過ぎてしんどくなったんでは?と思う。
「農業と言う事業は耕耘、施肥、種蒔き、育成、草取り、収穫、消費」
家庭菜園といえども、家人にとっては消費はなかなかたいへやしね。