『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  44

2019-06-13 07:38:12 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アエネアスら三人が会所に来る、待機していたオロンテスが立ちあがる。
 『あっ!テカリオン殿、ようこそ!』
 『お~お、オロンテス殿、達者でしたかな?』
 『はい、元気で日々、業務遂行にあたっています。テカリオン殿も元気でいられる。何よりです』
 二人が顔を合わせる、挨拶が終わる、オロンテスがテカリオンにたずねる。
 『テカリオン殿、会ってすぐのたずね事で、失礼ですが、夕食の件で当方の準備があります。船の一同は何人ですかな?』
 『お~お、そのような気づかいはしないでください。こちらが痛み入ります』
 『そう言わずに言っていただきたい』
 『大人数です。気づかいしないでください』
 『くどいようですが、言ってください。軍団長より下命されています』
 押し問答のすえ、テカリオンが答える。
 『船の者らは、33人です。オロンテス殿、正直に本音を言います。実はですな、船の者らは、こちらで馳走になるパンをこの上なく楽しみにしています。チョットづうづうしい言いぐさですな。オロンテス殿、夕食の件、喜んで頂戴します』
 『では、テカリオン殿、また、のちほど』
 オロンテスが用向きに場を離れる。
 アエネアスらは、久しぶりに訪れたテカリオンを囲んで、世の中の近況を話し合う。
 テカリオンは、アテネの近郊の海岸集落のピレウスの造船事業の近況について事細かに語る。
 話題が変わる、アテネのパン焼き製造の商業化の進化状況について話す。
 夕食の時がおとずれる、テカリオンと側近、アエネアスとイリオネスの四人でテカリオンの歓迎夕食会となる。
 船の乗り組みの者らとの交流夕食会も催す、浜はテカリオンの交易船を迎えてにぎわった。
 
 テカリオンらがニューキドニアの朝を迎える、テカリオンも郷に入って郷に従う、側近の一人を伴って朝行事に行う。
 『船主殿、チイ~ト、寒さを感じますな』
 『こらえろ!周りをみろ!一同、楽しんでいる』
 テカリオンが朝行事を終えて浜にあがる、寒さをこらえて、朝行事の慣習の良さをアエネアスと語り合う。
 イリオネスが一同を会所へと誘う、朝食のテーブルを囲む、例によって、ぶどう酒のはちみつ湯割りでパンを食し楽しむ。
 船のほうへも焼き立てのパンが届けられる。
 朝食を終える、イリオネスは、オロンテスとともに今日の業務の段取りをテカリオンと打ち合わせる。
 『軍団長殿、業務段取り解りました。朝食、馳走になりました、ありがとうございました。では、担当を連れてまいります。場はこちらでよろしいですね』
 『私らも準備を整えて、ここで待っています』
 テカリオンは場を去っていく。
 イリオネスは、オロンテスと準備について打ち合わせる。
 『オロンテス、場にはセレストス他決めた3名を同席させてくれ。それから建国探索出航のことについて触れないで業務を行う。いいな』
 『了解しました』
 イリオネスは、何事にも注意深く慎重を期していた。