『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  790

2016-05-27 05:47:04 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ギアスの提案の件をドックスに引き継いだオキテスは、ギアスに声をかけた。
 『ギアス、いろいろ考えた結果だが、櫂舵の具合も見てみたい、ガリダからの角材の受け取りの件もある、ほかにも用件がある。俺だが明日もキドニアに行く、お前に明朝、打ち合わせるといっていたがそれは中止する、、いいな。櫂舵の件、ドックスと話し合って、今、すぐやるのだ。ドックス、どうだ、とりかかれるか?』
 『はい、やります!』
 『おう、よかろう!作業に取り掛かってくれ』
 ドックスとギアスが打ち合わせる、ドックスがギアスに話しかけた。
 『ギアス、お前の考えは?現状よりどれくらい大きいものがいいのか、どう考えている?』
 『はい、あいまいな言い方ですが、進行方向、前後にふた回りくらい大きくして試したい。そのように考えています』
 『ギアス、聞くのだが、横ブレ抑止桁を取り付けて、ヘルメスの吃水が少しは変わったか?』
 『それは変わっていないように感じています。艇の安定性が向上しています』
 『そうか、それはだな、取り付けた角材の浮力と重量の関係なのだ。解るかな。このような造作は、本来からいえば、感じで決めて造作をやるのはよくないのだが、試し試しの繰り返しで仕事をしている。それがいい結果に結びついている。本当はそれではいけないのだ。もっと緻密に物事を測り、計ってやらねばいけない仕事だと俺は考えている。まあ~、それはそれとして、目の前の仕事をやろう。ヘルメスを作業の浜へつけてくれ。櫂舵の作業に取り掛かる、お前に意向も考えも聞いた、造作は俺に任せるな、ギアス!』
 『はい、棟梁の判断で造作をやってください。試すのは私です』
 『よし!すぐとりかかる。櫂舵を造るのに少々時間がかかる。ヘルメスを作業の浜につけたら、櫂舵を取り外してくれ。要領について解っている者をよこす』
 『解りました』
 ドックスは、パリヌルスらから離れて作業場へと向かった。
 ギアスは、ヘルメスを作業の浜につけて、櫂舵部の解体作業にとりかかった。
 昨日に続いての緊急の作業が開始された。
 いい結果を期待しての真剣作業である。ドックスの所作の気は鋭かった。