『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  783

2016-05-18 05:09:34 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ヘルメス艇に施した横ブレ抑止桁の造作は、艇体の構造及び性能に影響し、効果を現出している。艇の走行安定性を向上させていた。
 艇を建造している彼らの発想が艇の性能向上に確実に寄与していた。発想が負の方向に働くことなく、正の方向に働き、艇の走行安定にいい傾向を生み出していた。
 オキテスの試乗感もそのあたりのことを感じ取っている、あとは帰路において、その確証を得ようと考えていた。
 『ところでだな、スダヌス浜頭、五日後のことになるが、進水の披露をやろうと考えている。いろいろ都合もあるだろうが何としても出席してほしい。進水の披露にご招待申し上げる。そういうことだ』
 『そうか、進水させるところまで新艇が仕あがったのか、オキテス、それは重畳というところだな、よかったな。招待客はどんなところだ?』
 『招待客か、スダヌス浜頭を筆頭に集散所の関係者、ガリダ頭とそのように考えている』
 『了解した!そうか、俺は何があろうとも必ず出席する』
 『ありがとう。これで俺も安心だ。そこで俺の方から頼みがあるのだが、聞いてくれるか?』
 『おう、言ってみろ!』
 『出席者の一行を浜頭の船に乗せてきてもらいたい。これが俺の頼みだ。一行の顔ぶれだが、明後日にはわかる。決まった顔ぶれをギアスに連絡させる。よろしく頼みたい』
 『いいだろう。そのことの一切を引き受けよう。お前のところに泊まれないことが残念だが』
 『そうか、そこまでは、俺の考えが及んでいなかった。申し訳ない、それについては考える、決まり次第、もう一度、相談する。それでいいか?』
 『おう、それでいい』
 二人は、話しながら、焼いた魚を胃に収めて、昼めしを終えた。
 『あ~あ、それから、スダヌス浜頭、今日の会議のことだが、昼めしを終えたら、早々に始めようかと、ハニタスが言っていた。どうする?』
 『そうか、俺は売り場の者たちと打ち合わせを終えて、会議の場に行く』
 『俺は、ここから、オロンテスを誘って行く』
 『おう!では、そういうことで、会議の場で会おう』
 二人は別れた。
 オキテスがパン売り場に帰ってくる、オロンテスと顔を合わせる。
 『おう、オロンテス、スダヌスとの話はうまくいった』
 『そうか、まだ少々早いかな』
 『そうでもなかろう。行くとするか』
 『おうっ!』
 オロンテスは、売り場のスタッフに声をかけて、二人は、歩き出した。