『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  787

2016-05-24 05:18:37 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ハニタスが顔をほころばせる、そして、話を続けた。
 『決定した新艇の価格が私たちが考えた価格より値が下がったことは大歓迎です。私たちは、販売に総力をあげて力を尽くしていきます。約束します』
 『ありがとうございます』
 オキテスとオロンテスは、会議が考えた通りに決着したことに満足した。
 二人は、細かなことにも考えを及ばせて打ち合わせた。新艇の納入価を設定して、販売の締結価格を事例を提示して、価格設定の自由度についても話し合った。ハニタス言い分ではそういった事例の場合には、集散所としての慣習もあるといった具合で話はいい方向に決着した。万事がいい方向に向かって作用している、販売に関する一切を集散所に任せることの意義を確認した。
 二人は、己らがなすべき役務を改めて認識した。
 打ち合わせが終わった。場の四人が握手を交わして散会に到った。
 一同が小部屋をあとにした。
 
 『おう、オキテス会議は大体のところうまく決着したといっていいと思う。お前の評価はどうだ?今日はお前が別人に感じられたな。あれがオキテスとはな。俺は驚きだった。俺らが一族の想いがお前にのっかているといった感じがしたな』
 『そうか、俺もそのような思いがしたな、俺と俺以外の何者かが、俺にものを言わせている、そのような感じがした。不思議な力が覚醒して俺を動かしている感じがした。なあ~、オロンテス、会議が我らが望んだ方向に決着したことを喜ぼうではないか』
 二人は立ち止まって、堅く手を握り合っている、いつしか二人は、パン売り場の前に立っていたのである。
 パン売り場は今日の業務を終えていた。オロンテスがスタッフに声をかける。
 『おう、今日の業務が終わっているようだな、業務の推移を簡単に話してくれ』
 『はい、今日は客足もよく、売れ具合も好調でした。そのうえ、30個2件の予約も受け付けました』
 『それはよかったな。お前らよくやった、ご苦労。明日も晴れるやだな』
 オキテスが声をかけてくる。
 『おう、オロンテス、俺、スダヌスの方へ立ち寄って、船だまりに行く。また、ガリダの方へ使いに出した者の返事が気にかかっている』
 『そうか、俺たちも今日はこれにて終了だ。頃合いも、その頃合いだ』
 『ではな!』
 オキテスは、スダヌスの売り場の方へと歩み始めた。
 スダヌスは、売り場に立っている、オキテスが近づく、スダヌスが気づく、歩み寄って手をさしのべる、握り合う手には力が満ちていた。