『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  771

2016-05-02 05:03:41 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『そして、このような時に、艇体に横ブレを抑制する機能がついていたらと感じた経験があれば話してほしい』
 ギアスは『では』と言って三人を前にして姿勢を正した。
 『海上において横ブレを感じた場合にやる手段と言えば、舵操作と櫂操作ですが、この二つの操作で操船します。帆張りして巡航しているときでも、風向きが変わり、風を斜め後方から受けて走行するときには、現状の操舵機能では、何としても走行方向の維持ができないときがあります。特に櫂操作をやっていないときには、走行方向を維持する機能が船自体に備わっていればと感じます。操船技術と操船指示は、私ががやるべきことですから操船指示と操船技倆の巧拙が関係します。そのようなわけで自分自身の操船技倆の向上に努めています』
 『おう、なかなかいい説明だ。よく解った。ご両人いかがかな。質問があれば、ギアスに聴いてください』とパリヌルス。
 『なあ~、ギアス、進行方向を修正したときに、あっ!やりすぎた。もう少し、この方向へと修正する。そのような状況、状態に追い込まれて、手こずった経験があるかな?』
 『はい、オキテス隊長、それはあります。今はそのような修正作業は減っていますが。自分は、操船技倆が向上したのかなと感じています』
 『ほう、そうか。豊富な経験による操船技倆の向上か、よく解った。ドックス、どうだ。お前からも何か質問があるか?』
 『いえ、私からはありません』
 『パリヌルス、いいだろう!次にいこう』
 オキテスに促されて、パリヌルスは、板切れに描いた図を一同に見せる、見いる一同、注釈するパリヌルス。
 『この図は新艇の船底である。この図を見て考えてくれ』
 そのようにつげて彼は、ギアスに指示をする。
 『ギアス、頼みたい!俺が言うことを漕ぎかた一同の手を借りてやってほしい。人手が足りないようであれば、ドックスに言ってくれ。人手を貸す』
 ギアスと目を合わせる。
 『やってほしいのは、ヘルメスを浜へ揚げる、帆柱を外す、そしてヘルメスをウラ替えしてくれ。ヘルメスに手を加えなければならんのだ。解ったかな』
 『解りました。すぐに取り掛かります』
 『おう、急いでくれ!』
 ギアスは、ヘルメスに戻っていく。
 オキテスとドックスは、真剣な目つきでパリヌルスの描いた図面を見て考えている。
 パリヌルスは、三択の案までにまとめた思考結論に基づいて説明した。