『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  789

2016-05-26 05:32:19 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オキテスは、体で感じ取っている。これまでのヘルメスとどこかが違う走りを感じていた。走行に落ち着きが出てきている。微妙である、誰でも感じとれる走行感ではない、ヘルメス艇の走行に雑な横ブレがなくなっていることを感じとった。傍らのギアスに声をかける。
 『なあ~、ギアス、ヘルメスの走り、お前の体感はどうだ?』
 『はい、いい方向に変わっていると感じています』
 『答えがあいまいだな。ここがこのように変わっていますと『かど』のたった表現ではないな。ハッハ!』
 オキテスが笑いをこぼした。
 『まあ~、そうだわな、ハッハ!これはこうですと、ハッキリと言えることではないわな』
 弱い向かい風の抵抗感を感じながら、ヘルメスは、ニューキドニアの浜に帰りついた。
 浜では、ドックスがオキテスの試乗結果を待っている、オキテスを浜に出迎えるドックス。
 『オキテス隊長!おかえりなさい。走りの感じ、どうでしたか?』
 彼は開口一番にオキテスに訊ねた。
 『走行感がよくなっている!グッドだ!雑な横ブレを感じない!走りの安定感が増している。造作をした甲斐があったというものだ。造作する価値ありだ。角材は、明日持って帰れる。造作の体制を整えてくれ』
 『解りました。これで、この造作をした新艇の進水披露ができます』
 パリヌルスが姿を見せる。
 『おう、オキテス、お帰り!して、どうだった?』
 『おう、試乗感だが、すこぶるいい!雑な横ブレがなくなり、走行の安定、落ち着きが出てきている。造作に使う角材は、明日、持って帰る。ドックスには指示を終えた。まずは重畳とというところだ』
 『そうか、それはよかった』
 ギアスが話し合っている三人のところへ来る。
 『おう、ギアス、ご苦労。造作に関するお前の感想は?』
 『はい、キドニアで荷下ろしを終えて、時間都合ができたので、スダヌス浜頭に乗ってみてもらいました。浜頭からは、『おう、これはいい!』と評価をもらっています。浜頭に操舵をしてもらいました。浜頭とは、櫂舵の大きさについて話し合いました。私見を話した結果、櫂舵の大きさをもう少し大きくしたらいいのではないかとの結論に達しています。それを造作して使ってみたうえで採用の如何について検討いただければと考えています』
 『そうか。ドックス、ギアスの話、聞いてくれたな、考えてみてくれ』
 『解りました』
 ドックスは、こころよく答えた。