『おう、ギアス、ご苦労。小島の連中、どうしていた?』
『彼らは相変わらずです。ギョリダを中心に新しい釣り針で仕掛けつくりをやっていました。ギョリダの話では、明日、頃合いを見て漁場に行くようです。彼は思案を巡らせていました』
『そうか、彼らも真剣に取り組んでいるようだな』
『隊長、私から報告です。アバスなきあと、このサクテスが私の右手となってくれています。そのようなわけで彼に仕事を引継ぎます。ここ一両日の間に引継ぎを終了します』
『判った。それでだ、明日の予定だが、ハシケにこの俺を乗せて、小島を一周してほしいのだ。サクテスも同道だ。用向きについては明日話す、以上だ。あ~あ、もうひとつ、明後日はオロンテスを乗せてキドニアに行くわけだが、舟艇には俺も同乗する』
『判りました。出発する少々前に隊長を呼びに行きます』
『おう、ありがとう。そうしてくれ』
ギアスとの打ち合わせを終えたパリヌルスは、浜をあとにした。茜色に変わりつつある陽の光が浜と小島、そして、一帯の海を照らしていた。
パリヌルスが宿舎に戻った。夕食がすでに届いていた。寝食を共にする者たちがまだ帰ってきていない。彼らは撃剣の調練をやっている。もう終わるころだろう、彼は待った。『うん、このような日もある』彼は夕食のパンを眺めて空腹を感じた。ガヤガヤと声が聞こえてくる、トピタスの声も聞こえる、宿舎に人影が満ちてきた。
『あっ!隊長。戻っておられましたか』
『おう、トピタス。今日の撃剣練習はどうだった?左腕に血がにじんでではないか』
『はあ~、これですか。対手の剣をうけそこなったのです』
『まあ~、血のにじみ具合から見て大したことはないと思うが、用心にこしたことはない。すぐ、小川で洗うのだ。この季節だ、膿むようなことはない、薬をもらって塗り込んでおけ。明日までに治る。待ってやる、すぐ行って来い!それから、めしだ』
『ありがとうございます。では、行ってきます』
トピタスは戸外に出て40~50メートル先の小川に向かった。
しばらくして、宿舎の一同の顔がそろった。カイクスの掛け声合図で夕食が始まった。パリヌルスは待ちかねていたようにそそくさと夕食を済ませて、イリオネスの宿舎に歩を運んだ。
夜のとばりが降りきっていない、うす明るさであった。
『彼らは相変わらずです。ギョリダを中心に新しい釣り針で仕掛けつくりをやっていました。ギョリダの話では、明日、頃合いを見て漁場に行くようです。彼は思案を巡らせていました』
『そうか、彼らも真剣に取り組んでいるようだな』
『隊長、私から報告です。アバスなきあと、このサクテスが私の右手となってくれています。そのようなわけで彼に仕事を引継ぎます。ここ一両日の間に引継ぎを終了します』
『判った。それでだ、明日の予定だが、ハシケにこの俺を乗せて、小島を一周してほしいのだ。サクテスも同道だ。用向きについては明日話す、以上だ。あ~あ、もうひとつ、明後日はオロンテスを乗せてキドニアに行くわけだが、舟艇には俺も同乗する』
『判りました。出発する少々前に隊長を呼びに行きます』
『おう、ありがとう。そうしてくれ』
ギアスとの打ち合わせを終えたパリヌルスは、浜をあとにした。茜色に変わりつつある陽の光が浜と小島、そして、一帯の海を照らしていた。
パリヌルスが宿舎に戻った。夕食がすでに届いていた。寝食を共にする者たちがまだ帰ってきていない。彼らは撃剣の調練をやっている。もう終わるころだろう、彼は待った。『うん、このような日もある』彼は夕食のパンを眺めて空腹を感じた。ガヤガヤと声が聞こえてくる、トピタスの声も聞こえる、宿舎に人影が満ちてきた。
『あっ!隊長。戻っておられましたか』
『おう、トピタス。今日の撃剣練習はどうだった?左腕に血がにじんでではないか』
『はあ~、これですか。対手の剣をうけそこなったのです』
『まあ~、血のにじみ具合から見て大したことはないと思うが、用心にこしたことはない。すぐ、小川で洗うのだ。この季節だ、膿むようなことはない、薬をもらって塗り込んでおけ。明日までに治る。待ってやる、すぐ行って来い!それから、めしだ』
『ありがとうございます。では、行ってきます』
トピタスは戸外に出て40~50メートル先の小川に向かった。
しばらくして、宿舎の一同の顔がそろった。カイクスの掛け声合図で夕食が始まった。パリヌルスは待ちかねていたようにそそくさと夕食を済ませて、イリオネスの宿舎に歩を運んだ。
夜のとばりが降りきっていない、うす明るさであった。