『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  210

2014-02-17 08:04:58 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オロンテスの問いかけにパリヌルスが応じた。
 『おう、オロンテス、その件了解した。全面的に協力を惜しまない、判った』
 『判った。パリヌルス、あとは、オロンテスと詳細を打ち合わせてくれ、次は』
 『軍団長、私の方から報告いたします』と言ってオキテスが手を上げた。
 『おっ、オキテス、始めてくれ』
 『テカリオンをはさんで話し合った結果、パリヌルスと俺が担当する業務の方向が見えてきました。テカリオンから受け取った小麦の決済との関係もあり、『風風感知器』『方角時板』の製作『舟艇』の建造を行うことを決めました』
 これを聞いたアヱネアスは身を乗り出してきた。
 『おう、オキテス、それを決めたのか』
 『はい、決めました。『風風感知器』を60器『方角時板』を12台の製作、『舟艇』6艇を建造します。製作班2班、建造班1班を編成して、これにあたります。風風感知器、方角時板は、春が明けるまでに仕上げる段取りです。この二件の製作班の編成は、パリヌルスの方も私の方もすでに終えています。また、舟艇建造の件については調査班を早急に編成して、用材に使う原木等の調査にかかろうと考えています。そのうえで建造計画を立案して諸事に当たります。舟艇の建造は、用材の原木の良否がその出来上がりの完成度を左右します。良材を得ることができるか否かが大きな問題なのです。『方角時板』の責任担当がパリヌルス、『風風感知器』の責任担当が私です。『舟艇』に関しては、私ども二人が責任担当して事に当たっていきます』
 『おっ、判った。オキテスの説明で事の次第を充分に理解した。軍団長、やろうとしている仕事は結構でかい。二人では手に余ることもあるだろうと思う。イリオネス、お前、彼らのバックアップに力を入れてくれ。パリヌルス、オキテス、両人。俺と軍団長がお前たちを支える、約束する』
 『統領、ありがとうございます』
 『打ち合わせ事項は以上かな。何かあるようなら言ってくれ』
 一同は顔を見合わせた。パリヌルスが口を開いた。
 『今、日常の業務の流れがうまくいっています。今日の午後には、編成した班を軍団長に紹介しようと段取りしています。以上です』
 『よし、では、これにて打ち合わせを終わる』
 イリオネスは、特務調査隊の編成と実行を気にかけていた。