『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  203

2014-02-06 08:45:58 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 二人は広場にさし掛かった。イリオネスがいる。彼は、昨夕の夕食時に鳴り響いた『ガンガン』の下で5~6人の者たちに囲まれて話し合っていた。
 『あの『ガンガン』お前たちにどのように聞こえたかな?』
 『そうですね、俺はすっごく腹が減っていたもんで『ガンガン』が腹とすぐに結ぶ着きました』
 『ふ~ん、そうか。お前はどうだった?』
 『あ~あ、私ですか。私たち3人は撃剣訓練の真っ最中でしたから、あれは何だろうと思いましたが、コーチの言葉に従って、広場に来たようなわけです』
 『なるほどな』とイリオネスはうなづいた。
 『あ~、軍団長、なんですか。『ガンガン』談義ですか』
 『おっ、そうだ。お前ら二人は何だ。俺に用か』
 『え~え、そうです。オロンテスたちはテカリオンの船でキドニアに向かいました』
 『おっ、そうか』
 『ところで私ら二人、軍団長の耳に通しておきたい要件があります。その話に来ました』
 『まあ~、ゆっくりしろ。お前たちも考えてくれ。この『ガンガン』をこれからうまく使うにはだが』
 『あ~あ、その件でしたら浜の雑談でも話題になりました。叩きならし方で集合の内容を伝えたらということで話が落ち着きました』
 『う~んっ、そうか。その叩きならし方を言ってみろ』
 『昨日のたたき方は、初回でもあり、ただの連打でしたが『めしを食うぞ』のたたき方は、もっとのどかであったほうがいいといっています。たとえば、3つ叩いて一拍おいて1つ叩く、これを5回くらい叩いて知らせる。全員緊急集合は、3つ叩いてあとは連打であるとかです』
 『おう、それはなかなかいい。即、採用決定だ。叩きならし方を考えて全員に通達する。ありがとう。ところで用件は何だ。ここではだめか』
 『いえ、むつかしい用件ではありません。ここでけっこうです』
 『よし、腰を下ろせ、立ち話もなんだろう』
 三人は草の上に腰を下ろした。
 『おう、パリヌルスお前から話をしてくれ』
 オキテスが声をかけた。パリヌルスは、おもむろにオキテスと話し合ったことをイリオネスに伝えた。
 『おう、いいだろう。即、事を運んでくれ。いいぞ。何事も迅速に決せよだ』
 『それからですが、昨日の夕食の魚の事です。アレテスに事情を聴いてみたいと考えています。アレテスの言い分では魚が群れて通る海域と時間について研究しているようなのです。その答えが出たかどうかを聞いてみようと考えています』
 『よかろう。しっかり状況を知るように努めてくれ』
 『話はそれだけです』
 『民族が集団として生きていく、それには経世致用、富国強兵の方策だ。我々が生きていくうえで最も大切なことであると考えている』