『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  202

2014-02-05 07:45:16 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 テカリオンとオロンテスを送り出した浜でパリヌルスとオキテスは、互いの想いをつき合わせた。どのように展開を図り事を進めるか、課題解決の方策を具体的に考えなければならない局面にあることを互いに感じていた。
 『オキテスどう思う?俺は、何となく方向が定まったような気がしている』
 『そうだな、何となくむつかしさも感じるが、避けて通ることは許されない。無い知恵か、それともありあまる知恵か、お前どちらだと思う?』
 『どちらもだな。お前と俺の知恵では、知恵の量が足りないかもな。衆智を集めれば、知恵が余るかな?まあ~、そういうものでもなかろうが』
 『よしっ、やらねばならないことに対して、班を編成して、これにあたろう。中心に据える人材については、よく検討して決めようではないか』
 『そのうえで、目標を明確に示し、調査から始める。それでいいな』
 『おう、それでいい。即、着手だ、やろう』
 『とにかく、その旨を軍団長に通して、メンバーを決めてしまおうではないか』
 『判った。班の編成は、明朝アサイチだ』
 『いいだろう』二人は段取りを決めた。
 意志を決めた二人のフットワークは軽かった。先ずメンバー構成を考えるにあたって、班が遂行する目標とその結果を考えて、中心軸になる人選から始まった。
 『なあ~、パリヌルス、俺の考えるところはだな、軸になる者を班長に任命して、その副なる係長を決めるという具合でいけばいいのではと考えている』
 『おう、その手順がいい。舟艇造船班については、お前と俺がいる。明後日ぐらいとして慎重にやろう。方角時板班、風風感知器班、このふたつについては、班長、係長を決めて、今夕に打ち合わせをやる、この段取りでどうだ』
 『それでいい』
 『方角時板班については俺が考える。風風感知器班については、オキテス、お前が考えてくれ』
 『判った』
 『それからだな、話はちょっとそれるが、昨日の夕食に食べた魚の事だが、その件について聞いておきたいという気持ちがある。どうだ、オキテス。昼めしのあとにでもアレテスに事情を聴いてみようと思っている』
 『おう、それはいい。時間は長くならないだろう、聞こう。それから、テカリオンからの頂き物の、あの釣り針の事がある、判った』
 二人はイリオネスの宿舎へ向かおうと腰をあげた。