『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章  クレタ  67

2013-04-04 07:26:07 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、浜頭、いいか、客人のようだが』
 イリオネスは、言葉短く問いかけた。
 『え~え、軍団長。よろしゅうございますとも、何を言われます。今日は、皆さん、いいタイミングで見えられた。私もとてもにうれしい。ここにいる者たちは、この入り江の浜の頭の連中です、のちほど紹介いたします。私ども例の件で話し合っていたところなんですわ』
 浜頭は、小屋中央にしつらえてある円形の炉の真ん中にいて、クリテスの兄弟のアクロテスとイデオスに指図して、あらたに加わった客であるアヱネアスたちを歓待した。
 『ところで、軍団長。皆さん、陸路を?それとも船で?』
 『おう、船でだ。天気具合もいい、海も落ち着いていた。そのようなわけだ』
 『そうですか。それはよろしかった。浜頭連中の紹介は、あとにして皆さんを連中に紹介しますわ。いいですね』
 彼は、浜頭連中のほうに体を向けた。
 『皆に紹介する。先ほどの話の中心であった、キドニアの浜に上陸したトロイの民の首長、いやいや、統領のアヱネアス殿だ。そのとなりが軍団長のイリオネス殿だ。次がパリヌルス隊長、となりがオキテス隊長、そして、ギアス隊長のお歴々だ』
 一応紹介が終わった。すかさず、アヱネアスが腰をあげた。浜頭連中と目線を合わせた。
 『やあ~、皆さん、私がアヱネアスです。何かとお世話になるやもしれません、宜しく。また、ここにいる者たちも宜しく』
 アヱネアスは、くだけた感じで親しみを込めて、初対面の言葉をかけた。