『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第6章  クレタ  79

2013-04-19 08:20:52 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『では、最後の問題だ。築砦の件だ。スダヌスの持ってくる案件だ。立地条件、その環境等、充分に検討して決めねばならない案件だ。十二分に討議して決めたい。チエックすべき項目を考えておいてくれ。これで終わりだ。君ら何か意見があるか。あれば言ってくれ』
 『軍団長、今、話されたことで充分です。我々のやらねばならないことが、いい方向に向かっていく、そのように思います』
 『今日、夕食を終えて、ここに来るときに言われた統領の言葉を伝えておく。『何事にもひるむ事はない。自信を持って事に当たれ。今の我々には、その力がある』というわけだ。我々はその力をもって事に当たっていく、いいな』
 『判りました。それを肝に銘じて、事に当たります。軍団長っ』
 三人は声をそろえた。
 『では、話し合いは終わりだ。俺は、もう少々休まずに、調査に出た四人の帰りを待つ。浜で焚き火をして、あいつらの帰りを待つ』
 『判りました。私どもも一緒に。軍団長、場を変えましょう』
 四人は、浜でもいちばん目につきやすい場所に移動して焚き火を盛大に燃やし、まだ帰って来ていないアレテスら四人を待った。
 星空の下、北の方角に、こちらに向かって歩いてくる二つの人影が目に入った。
 二人が背にする空の一角に、荷車の七ツ星(大熊座)が輝いていた。