『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY            第5章  クレタ島  124

2012-09-17 07:03:14 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、アレテス、ご苦労。皆、そろったか。判った、よし行こう』
 軍団長は統領の許へ、三人は、船長、副長たちのいる場へと向かった。
 『おうっ!諸君ご苦労。今日、これからの予定を伝える。全員に伝えて、即刻、手配りを頼む。いまから、半刻後くらいから、今日の夕食とする。全員、身をさっぱりして所定の場所に集まってくれ。尚、夕食の場はオロンテスの配下の者たちが整える。それから、夕食を終えたあと君たちには、もう一度集まってもらう、いいな。明日からの航海の概略を伝える。以上だ。いいな、かかってくれ』
 オキテスとパリヌルスは、統領と軍団長のところへ、オロンテスは、作業指示と夕食の場つくりへと向かった。
 統領を交えての打ち合わせは、クリテスを加えて、パリヌルスの航海経験によって組み立てられた日程で話し合った。
 クレタ島へはあと200キロメートル余りである。まず、パリヌルスの懸念している天候について話し合い、キクラデス諸島の南端に位置するミロス島を停泊予定地としていることを説明した。このミロス島の近辺の小島が海賊の巣窟であり、奴らと遭遇したときの対応についても話し合った。終わりにクリテスが描いたクレタ島の略図を見ながら、上陸地点について話し合った。クレタ島は東西に長い大きな島である。そして、イリオネスがデロス島で耳にしたクレタ島の現在の情勢について話し合った。パリヌルスはこの航海におけるクレタ島の上陸地点を島東部のクノッソス近辺ではなく、西部のハニア近辺をめざしていることを話した。あくまでも全員の無事クレタ上陸と航海の安全を考えての計画であった。