『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY              第5章  クレタ島  131

2012-09-26 07:12:43 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 船団はパロス島の浜をあとにした。
 パリヌルスは、船上から東の空を眺めている。雲の密度が増して、流れが速くなっていた。輝くような朝焼けが暗紅色になっている。彼は過ごしていた、この季節のエドレミトの空を思い起こしていた。
 大自然の営みは大きく動く、そして、ところどころで起こる局地的な現象。それらについて考えた。彼なりの深度で思考した。彼の得た結論は、正しい答えであるか否かは定かではない。

 人間がその場に臨んで、直観的判断で断を下す。そのような古代の時代にあって直観的判断の正答確率が6分、ウラ目の不正答確率も6分であろうと考えられるが、この6分と言うのは、『ネーピア数』的確率である。この6分と言う答えは、次の数式で導き出した答えである。[1-1/2.718=0.63]これによると直観の正答確率が5分5分ではなく、6分4分と考えられる。心理学的スタンスで眺めたとき、人間たるものの努力効率を加味して、ポジテブな気持ちこそラッキーへの近道ではないかと考えられるのである。

 パリヌルスの心中は『俺が断を下した以上、自分の決断が正しかったとする方向に努力する』といった強い思いがあった。
 彼は、大陸から吹き降ろしてくる北東の風を帆にはらんで、南西に波を割って進む船団の姿から目を離さなかった。
 今の状況は順調である。陽はかげっている、波頭が風に飛ぶ、彼は全身の神経を張りつめて、観天望気の判断を誤らないように務め、航走に注意を集中した。