パリヌルスは、イリオネスとともに従卒2名を連れて、住民たちがこもっている茂みにおもむいた。
彼らは好奇な目で、我々のほうの情景を茂みの葉陰からうかがっている。二人は茂みに間を置いて立った。彼らの身構えている雰囲気が感じられる。パリヌルスが最初の声がけを行った。
『浜頭はいないかな?浜頭だ。浜頭はいるか。我々は、お前たちが思っている海賊ではない。我々はお前たちに害を為す者ではない。判るか。浜頭と話をしたい』
相手はパリヌルスらの風采を見て、こちらのことを察したらしい三人の男たちが茂みの中から出てきた。浜頭らしい男が口を開いた。
『私が浜頭だ。何用か知らんが話を聞こう』
パリヌルスは、クレタ島への旅をしていることを簡単に説明して、彼ら住民たちを夕食の場へ誘った。彼らも腹を空かせていることを感じとっていたのである。住民たちは子供を含めて60人余り10家族くらいである。
パリヌルスたちは、きびすを返した。
『さあ~、浜頭。行きましょう』
そのひと言で、浜頭と住民たちは怪訝な構えを崩さずについて来た。
夕食の場では、彼らの場を作るのにオロンテスは気配りをしていた。市民の女たちや子供たちの場の隣に彼らの場がつくられていた。一同が彼らを拍手で迎える風景がそこにあった。彼らも安堵した風情で場に座した。
数少ない市民の女たちが彼らに手を差し伸べていた。彼らの堅く閉じられていた心身の扉が開かれて場になじんでいく。彼らが抱いていた怖れの垣根が、徐々に取り払われていった。
彼らは好奇な目で、我々のほうの情景を茂みの葉陰からうかがっている。二人は茂みに間を置いて立った。彼らの身構えている雰囲気が感じられる。パリヌルスが最初の声がけを行った。
『浜頭はいないかな?浜頭だ。浜頭はいるか。我々は、お前たちが思っている海賊ではない。我々はお前たちに害を為す者ではない。判るか。浜頭と話をしたい』
相手はパリヌルスらの風采を見て、こちらのことを察したらしい三人の男たちが茂みの中から出てきた。浜頭らしい男が口を開いた。
『私が浜頭だ。何用か知らんが話を聞こう』
パリヌルスは、クレタ島への旅をしていることを簡単に説明して、彼ら住民たちを夕食の場へ誘った。彼らも腹を空かせていることを感じとっていたのである。住民たちは子供を含めて60人余り10家族くらいである。
パリヌルスたちは、きびすを返した。
『さあ~、浜頭。行きましょう』
そのひと言で、浜頭と住民たちは怪訝な構えを崩さずについて来た。
夕食の場では、彼らの場を作るのにオロンテスは気配りをしていた。市民の女たちや子供たちの場の隣に彼らの場がつくられていた。一同が彼らを拍手で迎える風景がそこにあった。彼らも安堵した風情で場に座した。
数少ない市民の女たちが彼らに手を差し伸べていた。彼らの堅く閉じられていた心身の扉が開かれて場になじんでいく。彼らが抱いていた怖れの垣根が、徐々に取り払われていった。