風は力をゆるめず北東から吹きつけてきている。船団は風に押され加速して波を割っていた。
舟艇は風と波に翻弄されていた。ギアスは為す術に頭をしぼった。船尾の三角帆はたたみ、メインの帆は高さを半分くらいまでに降ろして対処した。ゆるんだ帆を風があおる。船上の者たちが身体をかけてあおりを抑えた。
パリヌルスは、パロス島の浜を離れてからの時を振り返った。時間の見当がつかない、不安が感覚を襲う。全天を覆う雲は低く、流れが速い。時をおかず雨がくるであろう予感が働いた。太陽の位置がわからない、太陽の存在、その重要性を痛感した。彼はいらついた、自分を失いそうである。居ても立っても居られなかった。
船団は、どこにいるのか、どこを進んでいるのか、それを推し量る術を手にしていない。船団はミロス島に向かっているのか、風に押されるままに海上を彷徨しているだけではないのか。
彼は大自然の力に屈していく自分の無力さを感じた。彼の己との闘いはここにあった。これに打ち克たないかぎり、船団は道無き迷路を進み目的地に行き着くことが出来ない。彼の心中の葛藤、己との闘い、彼はそこに自分を見た。そのような自分を嫌悪した。
彼は迷わず、直ちに嫌悪する自分をかなぐり捨てた。少しづつではあるが冷静さを取り戻しつつあった。
目明きの盲目状態から脱出する。それには何をどうするかを考えた、壁をひっかくようにもがきながら考えた。一縷の望みの光を見た。『不思議な勝ちを得る』者の、自ら助くる者を助ける力が訪れるのを感じとっていた。
舟艇は風と波に翻弄されていた。ギアスは為す術に頭をしぼった。船尾の三角帆はたたみ、メインの帆は高さを半分くらいまでに降ろして対処した。ゆるんだ帆を風があおる。船上の者たちが身体をかけてあおりを抑えた。
パリヌルスは、パロス島の浜を離れてからの時を振り返った。時間の見当がつかない、不安が感覚を襲う。全天を覆う雲は低く、流れが速い。時をおかず雨がくるであろう予感が働いた。太陽の位置がわからない、太陽の存在、その重要性を痛感した。彼はいらついた、自分を失いそうである。居ても立っても居られなかった。
船団は、どこにいるのか、どこを進んでいるのか、それを推し量る術を手にしていない。船団はミロス島に向かっているのか、風に押されるままに海上を彷徨しているだけではないのか。
彼は大自然の力に屈していく自分の無力さを感じた。彼の己との闘いはここにあった。これに打ち克たないかぎり、船団は道無き迷路を進み目的地に行き着くことが出来ない。彼の心中の葛藤、己との闘い、彼はそこに自分を見た。そのような自分を嫌悪した。
彼は迷わず、直ちに嫌悪する自分をかなぐり捨てた。少しづつではあるが冷静さを取り戻しつつあった。
目明きの盲目状態から脱出する。それには何をどうするかを考えた、壁をひっかくようにもがきながら考えた。一縷の望みの光を見た。『不思議な勝ちを得る』者の、自ら助くる者を助ける力が訪れるのを感じとっていた。