今日は関東地方は雨です。『くりぷとむねじあ歌物語』『歌集』「七の巻、名残」から、別の季節に詠んだものですが、雨模様の歌を再録します。
新しい歌をしばらく詠んでおりませんので、歌物語から折々の歌を紹介することにします。
遠くで音がして、雨かと思う間もなく、家中が雨音の気配に包み込まれたときの歌。
とおきより あめのおとない たちそめて やがてふせやの ふりこめらるる
遠きより 雨のおとなひ 立ち初めて やがて伏せ屋の 降り籠めらるゝ
(遠くで何かの音がして、雨かと思う間もなく近付いてきて、家中が秘かな雨音に包み込まれました)
夜が更けてゆき、雨脚が弱くなり、いつの間にか降り止んでいたときの歌。
よるのあめの やみゆくおとを かぞえつつ ねざめもしらぬ しじまやふかき
夜の雨の 止みゆく音を 数へつゝ 寝覚めも知らぬ しゞまや深き
(夜になり、雨が降り止んでいく音空間は、いつのまにか深い眠りを誘い、目覚めることもないような、眠っているのか目覚めているのか区別がつかないような、深い静けさに浸っています)
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