知人に送ってもらった本に、ご本人が撮った川の写真がありました。川の上流、山間の岩の多いところを、溢れるほどの清流が流れ、大きな岩の上で水面が盛り上がって(古語ではこれを「背枕(せまくら)」と言います)、遠目にも水紋の力動が伝わってきます。その光景は、私にも見覚えのあるもので、いくつかの記憶が甦ってきました。夏の思い出を凝縮させた歌です。
みなぎろう かわのせまくら ゆくらかに こころせかるれ ただまもりいる
みなぎらふ 川の背枕 揺くらかに 心急かるれ ただ目守りゐる(麟伍)
(水流の多い川が、大岩の上で盛り上がって、透明な水紋が、激しくしかし静かに揺れ動いて、見ていると押し迫った気持ちになるけれども、心が落ち着かないまま、じっと見守っています)
みなぎろう かわのせまくら ゆくらかに こころせかるれ ただまもりいる
みなぎらふ 川の背枕 揺くらかに 心急かるれ ただ目守りゐる(麟伍)
(水流の多い川が、大岩の上で盛り上がって、透明な水紋が、激しくしかし静かに揺れ動いて、見ていると押し迫った気持ちになるけれども、心が落ち着かないまま、じっと見守っています)