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北方を諦める義重さま (佐竹三代:佐竹義重編)7

2009年11月12日 | 歴史
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は”そこそこ名前を知っていながら、いまいちどんなだったか知らない戦国武将”という一人。
常陸は佐竹氏についてお送りしております。

若くして十八代当主となった「佐竹義重(さたけ・よししげ)」
通称「鬼義重」に相応しい活躍を見せ、反乱した国人衆の討伐ほか白河結城氏、小田氏らを圧倒して勢力拡大。
また、早くから「豊臣秀吉」と誼を通じ、積極的に縁組政策を取るなど外交面でも非凡な才を発揮しています。
しかし、北方・南方という二方面での作戦は芳しい成果なく、北条勢には岩井合戦・沼尻合戦で分が悪く、人取橋合戦で伊達勢に勝利したものの戦略的な利はありませんでした。
なかなかうまくいきませんね。


天正十五年(1587)
次男の義広を蘆名氏の養嗣子として入れ、ここで後に重要な役回りとなる「蘆名義広」が誕生。

天正十六年(1588) 窪田合戦(安積表合戦)
義重は息子義広の率いる蘆名勢と共に、安積郡へと侵攻。
当時、大崎・最上氏らと争っていた「伊達政宗(※写真)」は軍を動かせる状況ではなかったのです。

白河氏、二階堂氏らも佐竹氏に呼応し、総勢四千という軍勢であった連合軍に対し、大崎勢との「中新田合戦」に大敗していた政宗は、動員可能であった六百というわずかな軍勢で立ち向かいます。

山王館に陣を置いた政宗。
高所にて徹底した守りの陣を取った伊達勢は兵数差に押されながらも奮戦し、致命的な損害を受けなかったのです
それ以降は、ほぼ対峙するだけで無為に時を過ごす持久戦となっていた頃、蘆名領内にて「猪苗代盛国」「猪苗代盛胤」親子が家督相続の争いを起こしたため、「岩城常隆」・「石川昭光」らによって和議が結ばれました。
こちらでも不利ながら伊達勢が善戦したため、好機を逃してしまったのです。

天正十七年(1589)摺上原合戦
そして運命の一戦。
先の猪苗代家の内乱は政宗にとって有利に働き、「猪苗代盛国」は寝返ってその手引きで伊達勢が侵攻。
父・盛国は蘆名軍の先鋒となった息子・盛胤と戦うこととなります。

ここで戦力的にやや不利であった蘆名勢は良く戦ったものの、他家からの”にわか当主”であった義広は完全に家臣団を掌握できず大敗
どうやら、傍観していた者も多かったようなんですねー。

こうして総崩れとなった「蘆名義広」は、実家・常陸へと撤退。
義重は伊達方の大平城を攻略するなど対抗したものの、敗戦によって陸奥国人衆が一斉に敵となったため、戦線を維持することができず撤退することとなりました。
東北地方への影響力は、こうして失われてしまうのです。

伊達氏は北条氏と連合。
白川氏、額田氏、小田氏らが続いて反旗を翻すなど、一転して猛攻にさらされてしまう義重。
しかし、決死の防衛と、早くから誼を通じていた関白「豊臣秀吉」の支援によって領国を維持し、危機を切り抜けるのでした。

⇒ つづく。
  次回は「秀吉の威を借る義宣さま (佐竹三代:佐竹義宣編)」(8/9)

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佐竹義重(よししげ) 伊達も北条も怖れた常陸の戦国大名 (PHP文庫)
近衛 龍春
PHP研究所

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※イマイチ華々しく勝てない義重さま。
 たしかに怖れたでしょうけれど…関連本は多くありません。