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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

アカサシガメの狩り場面

2016-06-23 | カメムシ類

アゲハの庭園にて。

レモンの葉にカメムシがいて,どうやら獲物を捕まえている様子。近寄って行くと,サシガメらしく,口吻が獲物に突き刺さっていました。 

 
獲物はラミーカミキリ。とんだ災難に遭った模様です。口吻はカミキリの口の辺りに突き刺さっていました。からだで一番柔らかい部分に口先を刺して体液を吸い取っているのです。

あとで名を調べたら,アカサシガメと判明。写真を撮るために近づくと,警戒して葉の裏から表に移動しました。移動したものの,獲物を放そうとする様子はまったくありません。大した攻撃性を備えています。

 
少々の異変には動じる様子はなし。それで,葉の表にいるサシガメをじっくり撮ることができました。


ラミーカミキリの格好を見ると,もうどうしようもないといった感じです。実際,動きかけしませんでした。いわば,壮絶な場面とでもいい表せるでしょうか。

「食べる」「食べられる」,「襲う」「襲われる」,この食物連鎖は生物界のきびしい様相です。それぞれのいのちにとっては,容赦のないドラマです。  

 


象糞紙を漉く(2)

2016-06-23 | 野草紙

6月23日(木)。象糞をいただきに,近隣市にあるテーマパークへ。

飼育担当責任者のSさんはすでに象糞を準備して待ってくださっていました。「石などの不純物が付いていないものを選んでおきました」といいながら,ビニル袋を開けて見せてくださいました。「これは上等の紙材料!」と直感。


チモシーグラスがしっかり残っていました。まちがいなくすてきな紙が漉けそうです。臭いはまったく気にならない程度。この点も,扱う者にとっては重要な点になります。


いくつかの質問をし終ってから案内していただいたのが,まず飼料置き場。チモシーグラスの塊りがうず高く積まれていました。


その隣りには,アメリカ産のスーダングラスが。これもチモシーグラスに混ぜて与えるそうです。手触りは,チモシーよりも固め。ペレットの入った袋もありました。これは,複数の動物に与える固形飼料です。

次に,実際に動物と対面。アフリカゾウはさすがに王者です。巨体! 「近くに来て,ドバーッとウンコをしてほしい!」。きっと迫力があるでしょう。


ウンコが地面にどっかと場所を占めていました。おやつに太いタケを与えることがあるそうで,そんなときはすごいウンコなんだろうなとついつい思いました。


ワラビーは群れて餌を食べていました。お腹に子どもを入れた母親がいました。目の前で見られるのはさすが経営的センスのよさ! 


ウンコもいただきました。繊維がちゃんと観察できました。


レッサーパンダのウンコもいただきました。ササを食べているので,その繊維が詰まっています。

広大な敷地でもあり,案内していただいた区画はごくわずか。そこだけでも,わたしはかなり質問をしました。それについて一つひとつ丁寧に答えていただきました。これが接遇姿勢なのでしょう。来園者に対するアピールのしかたも,説明版やら仕掛け掲示を見ていて刺激を受けました。動物とふれ合うたのしさを満喫してもらおうとする配慮が確かにあちこちではたらいていたのです。これこそが,ここならではの仕掛けなんだなあと実感。

さて,象糞を紙にする工程の第一歩は,いただいた象糞を熱処理で殺菌すること。そうしてから,水で洗う予定です。報告は続いていきます。 

 


象糞紙を漉く(1)

2016-06-22 | 野草紙

象の糞から紙を漉く試みについて,シリーズで記事にします。

昨年,久しぶりにこの試みをしたくって,ある市立動物園に電話をしました。趣旨を伝えたあと,「以前に象糞をいただきました。今回もぜひご理解のほどを」と付け加えました。ところが,係員の方いわく「それはどうも……」と,電話口で困惑気味の様子。「上司に電話をつなぎます」とのことで,上司の方が出られ,丁重に「それはできません。防疫上,どんな病気が発生するかわからないので応じかねます。当園がとやかくいわれるのは困りますので,無理です」ときっぱり。「どうしても無理ですか」というと,「どなたがおっしゃろうと無理ですね」とダメ押し。糞の行方について尋ねると,「園が契約している農場に持ち込んでいます」とのこと。

わたしはこれ以上のことは無理と判断して,象糞紙づくりは諦めました。それにしても,同園の対応にはじつに形式的で,杓子定規な響きがありました。さすがに事なかれ主義の公務員体質だなあと恐れ入った次第です。自分を棚に置いて自己弁護するいい方になるかもしれませんが,これって融通の余地もないシャットアウト対応に見えますが。いささかうんざり。わたしだったら,事情をくわしく聞きとって「そういうことなら」とでも応じてゆきたい気持ちがしますね。

わたしと同じ話を,たとえば研究者が持ち込んだらいったいどんな結果になるのでしょうか。「どなたでも無理」の言葉で通して,当然門前払いかな。それともその道の権威には弱いかな。

今回,改めて象糞紙を漉きたくて,同じ市にある象飼育施設に連絡。そこは民間で,象を含めてたくさんの動物を野外で放し飼いしているテーマパークです。施設管理責任者のSさんに事情を話すと,一発でOK! 「いつでも来てください。扱うのに衛生面の注意は必要ですが,必要分を融通しましょう。わたしたちも以前に象糞紙をつくった経緯があります。飼育象はアフリカゾウで,主な餌はチモシー・グラス,ペレット,果物です」とのこと。さすが! ついでに,ミュージアムで「『動物のウンコ』展ができないか,検討しているのですが」というと,Sさん,「協力できることがあれば,いくらでもしましょう」とまでいってくださって。

官民のちがいが,こんなかたちで現れようとは思いもしませんでした。頑固で形骸化した対応に終始する官,柔軟で客を大事にしようとする民,どちらが客足が伸びるか,一目瞭然でしょう。電話対応の心地よさがちがいます。経営手腕のセンスまでちがうように見えます。官は運営に税金を注げるところに安住し過ぎてきました。どうやら,そのツケが回ってきているようです。

じつは,野草紙づくりに取り組んできた自分のこと,子どもを対象にしてこの象糞で紙をつくらせてみたいのです。時期は夏休み。その前段階として予備的に紙をつくるのが今回の試み。チモシーが餌なら簡単に紙にできる見通しがつきます。できれば,ミュージアムボランティアの皆さん,関心のあるおとなの人もご一緒につくりたいと思っているところです。そして,実現可能ならいずれ『動物のウンコ展』も開きたいなあ。

下写真は,ずっと以前に『ウンコ展』で入手した象糞紙。ザンビアでつくられたものです。わたしの宝物でもあります。


というわけで明日,材料にするその象糞を受け取りに行きます。 

 


キタキチョウ,孵化へ(3)

2016-06-21 | 昆虫

6月17日(金)。昨日の雨で卵の1つが落下した模様です。葉の縁にあったのが,見当たらないのです。こうなると,残りはただ1つです。どうにか孵化にまで至ってほしいのですが,萎んだ感じからすると,どうなるやら。


6月18日(土)。やはり,なにかが起こって萎んでしまった様子。これでは先への見込みがありません。こういう例は少なからずあるのですが,がっかりです。孵化場面を撮りたかったなあ。

 


それで,もう一度他の葉を見てみました。産付卵はないか,とささやかな希望を抱いて。すると,幼虫が1匹いるではありませんか! 食痕ができていることから見て,孵化後時間が経過している模様です。

 


「そうか,他にも卵が産み付けられていたのか!」。「ほっ」。この個体を育てながら,成長を記録することに方針を変えます。

 


アカタテハの幼虫と狩りバチ

2016-06-20 | アカタテハ

自然界で生きることは,ほんとうにむずかしいことだと感じます。アカタテハについて最近の観察例を思い浮かべると,次のような例があります。

孵化するのを待っていたのに,結局そのまま孵らなかった例がいくつか。ついこの間。

今度こそ孵化が見られると思っていたのに,突然卵が何者かに襲われて中身がなくなった例。これも,ついこの間の話。


翌日見ると……。卵殻だけが取り残されていました。


幼虫が葉を綴って巣にし,そこに潜んでいるのに,それをハチに嗅ぎ付けてられて襲われた例。ハチはコアシナガバチか,キボシアシナガバチのどちらか。


執拗にハンティングしています。


わたしの気配に警戒したのか,その場を去りました。


ハチが去ったあと,巣を開いてみると幼虫の無残な姿が横たわっていました。


こういうことを織り込み済みで昆虫たちの産卵数が決まっているのでしょう。それにしても目撃する例だけでも「これが自然の掟なのだなあ」とついつい思ってしまうほどです。きびしい!

 


いのちの大変化,待つたのしみ

2016-06-19 | アゲハ(ナミアゲハ)

わたしが生きものいのちを感じるのは,「食べる」「ウンコをする」「産む」「生まれる」「脱皮する」「……」,そんなふうになんらかの動きがあるときです。瞬時の出来事といってもよいぐらいです。そのときに,生きものならではの変化が見え,生態をとらえる貴重な情報が得られる気がします。

瞬間に生起する事柄は偶然目撃できるかどうか,そんな偶然性にかかっています。たまたまそこに居合わせなければ目にとまりません。目にとまっても,カメラがなければ映像として記録できません。

先が読めて,だいたいいつ頃に次の変化が起こるか予測できる場合は,あらかじめこころづもりができます。それでも,ささいなミスでご破算になる場合があります。わたしのミスでチャンスを逃した最大の例は,イシガケチョウの卵の変化を追うというものでした。産み付けられた状態そのままで変化を観察したくて,放置していたのです。ある日,見ると卵の姿が見当たりません。外敵に襲われたのです。この地方では珍しいチョウなので,ほんとうにがっかりしました。

チャンスを見逃した最近の例をもう一つ。アゲハの孵化を追って観察を続けてきて,間もなく孵化するなと予測されたとき,事情があって30分間その場を離れました。


その間に,殻に穴を開けて誕生,そうしてすでに卵殻を食していたのでした。ずっと待っていて,最後の最後に肩透かし! なんともお見事な誕生物語です。マアこういう例は何度も何度も経験済みなので,きっぱり自己責任に帰するほかありません。さほどに,いのちの展開というものは順序が決まっているにもかかわらず読みにくいものです。


ということで,今,アゲハの孵化を撮るたのしさにはまっています。6月19日(日),畑に植えているレモンの木でたくさんの卵を発見。いくつも! これだけあれば,孵化の決定的瞬間が狙えそうです。


いのちの大変化は生きもののからだの大きさに関係なく起こります。いのちの営みはからだの大きさによらず尊いものだと,わたしは思っています。とりわけ,今のわたしには小さないのちの行方がとても気になるのです。

 


キタキチョウ,孵化へ(2)

2016-06-18 | 昆虫

6月15日(水)。中は,白い塊りが前よりももっと引き締まった感じになってきています。


他方の卵も同じように見えます。ただ,細っているようなので無事に孵化に至るのか,ちょっと不安。 


6月16日(木)。早朝,コンデジで撮影。顕微鏡モードなので画質はよくありません。確かに中にはからだが形成されているように見えます。


最大にアップして撮りました。殻が変形しているように見えます。


もう一つの方はどうでしょうか。塊りのようなものはぼんやりしています。

 

 


真正種子ジャガイモの花弁の色

2016-06-17 | ジャガイモ

実を採集するために植え付けたホッカイコガネは,わたしの期待に100%応えてくれました。昨年度は植えたイモがすべて出芽して,どの株も実を付けました。今年もまたそうです。地上の育ち方から見て,地中でもイモがじゅうぶんに育っているように思われます。

ホッカイコガネは,2つのプランターにそれぞれイモを2片ずつ植え付けました。合計4株が育ち,もちろん各株に実が付いています。

さて,真正種子から育った苗をプランターに植えたのが順調に育っています。これも2つのプランターに苗を各2本植えましたから,合計で4株育っていることになります。

これまでに繰り返して書いてきたことなのですが,ホッカイコガネの実から得た種子はホッカイコガネの形質を100%受け継いでいるわけではありません。他家受粉をして実った結果,種子には他品種の遺伝子情報もプリンティングされていることになります。その情報が,食用にするのによりよいものなら新品種になりうるわけです。

さて,交配種だと見てわかる手がこれ。つまり,親であるホッカイコガネの花弁と比べて色が同じかどうか。4株のうち1株の花が純白です。親は薄い紫色。はっきりこれは,交配していることを物語っています。


親は薄い紫色。はっきりこれは,交配していることを物語っています。


実のできやすさを継承しているかどうか,これは花後の様子を見てみないとなんともいえません。

 


モンキチョウ,産卵から孵化へ(4)

2016-06-16 | 昆虫

6月13日(月)。13時02分。2つ目の孵化が始まりました。頭部を出しました。


13時07分。頭部全体が出て来ました。下写真はトリミングしています。

 


13時08分。身を乗り出すようにして,からだ半分が出ているところです。 

 


13時11分。頭を下に向けて降りようと頑張っていました。そうして着地。からだを見ると,見事な曲がり具合です。 

 

 
出始めてから着地するまで,10分のドラマ。見応えがありました。もったいないほどです。 

 


モンキチョウ,産卵から孵化へ(3)

2016-06-15 | 昆虫

6月13日(月)。朝起きて,卵を確認。すると,多くの卵が孵化後! 幼虫が出てしまって,葉の表にしずかに休んでいるのです。しまったー! そう思っても,すでに遅し。すべての卵を確認,なんと出終わったものが続出。かろうじて2個だけがまだ孵化していません。ちょうど孵化直前の模様。それぞれがきょうだい関係にあるので,間もなく孵化すると思われました。すぐに撮影準備。

はじめの1個について,まず報告します。

午前6時21分。先に孵化した幼虫がいる隣りの葉。殻に穴が開けられ,いつでも出て来られる態勢です。


午前7時30分。頭を出しました。 


頭をもっと出しました。 


下に向かってからだを伸ばします。しかし,葉に脚が着くにはまだまだ。 


午前7時39分。からだがすっかり出て,脚が着地。出始めてから10分。 

 

 
出終わると,それまで入っていた殻を食べ始めました。隣りの葉では,先に生まれていた幼虫が再び殻を口にしています。

 

 
大きな変化が終わりました。こんな場面を目撃できるのはなんともハッピーな話です。