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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

キリモミ式発火と子どもたち

2014-12-28 | 随想

わたしの“遊び心”は,子らが秘めた“活動欲” とよく似ているのかもしれません。この活動欲に火を灯そうと試みると,意外に子どもが乗ってくるので,ついつい同じ目線で遊んでしまうといった面があります。

今,この遊び心が高じて子ども探検隊を組織(?)し,子どもに群れさせ,野外でのびのび活動させられないか,可能路を探っているところです。

さて,さて。「キリモミ式で火を起こしたい!」。そんな活動欲を受けて,アシストすることに。火起こしの世界はわたしの守備範囲内。「どんと来い!」の気持ちで,子らの好奇心を支えてみようと思いました。 

活動日にやって来たのは5人。学年は3年(4人)と5年(1人)。そのうち経験者はTさん(3年)だけ。今夏,青少年のための科学の祭典で体験しました。この状況では,発火はかなり厳しいのではないかと思っていました。5年生ぐらいなら,初めての体験でも共同作業で発火させることができるでしょうが……。それで,摩擦によって煙が出たら合格にすると伝えました。

経過は以下のようにたどっていきました。

  1. 火種ができたときを想定して,材料各種(麻,モグサ)を整えておく。
  2. ヒキリ板(杉材)の溝と臼について説明する。
  3. マイギリ式で炎にする手順を示す。
  4. キリモミ式について,1人で練習する。
  5. 2人あるいは3人一組で,臼を作り,そこにヒキリ棒を立てて回転練習をする。
  6. 組で,ヒキリ棒が途切れることなく滑らかに回転するように練習する。
  7. 組で,煙が出るまでやってみる(あるいは,火種ができるまで)。 
  8. うまくいけば炎にまでする。

下写真は練習風景です。 


慣れてくると,組をつくってやります。ヒキリ棒が板から外れることが度々。それでも,すこしずつ上達してきます。 

上手になってきても,なかなか煙が出るまでにはいきません。理由は,下向きの力が弱いこと,交替する際にさっと入れ替われないこと,などが挙げられます。それで,力の加え方と交替時の素早い入れ替わりについて手ほどきをしました。


そのうちに煙が出始めました。しかし,モクモクといった感じではなく,頼りない程度です。途中,わたしも加わり,煙がしっかり出るまでにして見守りました。子らは必死になりました。しんどくても,力の限りを尽くしました。

すると,溜まった墨から煙がジワーッと上がりかけたのです。火種ができた証拠です。これが種火となって炎に。もう一組はこれ以上に悪戦苦闘した末に,ついに成功したのです。 


子どもたちにわたしが感心したのは,諦めない強さがそこに見えたことです。今回,3年生でもできるという事実を手にすることができました。この活動に要した時間はほんの1時間。火起こし体験は,まちがいなく活動欲に火を灯し,充足感を満喫できる醍醐味を秘めています。 

次回は来年早々。森の探検に出かけます。準備物について話し合っていると,Tさんが「袋がいるなあ。何かが見つかったら入れなくちゃ」といいました。気持ちが乗っています。子どもの発想を下地にして活動を仕組み,アドバイザーの目線で仕掛けることにしています。

 


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