夕食の献立でカレーを作ろうと思い,畑にニンジンを採りに行きました。すると,葉に何か蛾の幼虫らしい毛虫が付いてじっとしていました。よく見ると,脱皮後で,すぐ傍に脱いだばかりの殻がありました。
体長が1cmばかりなので,特徴が肉眼ではよく確認できません。それで,家に持って入って撮影することにしました。
ファインダーを覗いてびっくり! 小さいのに,なんと立派な毛をそなえていることか! 頭を見ると,堂々とした顔つきをしています。
こういうときは,とにかく,動きや変化に細心の注意を払って観察することにしています。それで,「この後,どんな行動をとるのか」と気にしながら,ときどきファインダーを覗いて確認しました。脱いだ皮を食べるのではないか,毛があるとどうするか,そんな単純な問いを感じていたのです。
しばらく時間が経って見ると,おもしろいことに,からだの向きを逆にして,殻を食べていたのです。これで納得です。大きな顎とその動きが確認できました。センチの世界に,動物一般に共通した食餌行動が当たり前のように存在しているわけです。タンパク源を無駄にしない動きに脱帽です。「ほっ,ほう!」です。
こんな発見があり,カレーの味はまた格別でした。翌朝,幼虫を畑のニンジンの葉に戻してやりました。ニンジンを食べる害虫ではありますが,ほんの一匹だし,畑の持ち主として困っているわけでもないし。
このケムシの特徴である体側の色や斑点,また束になって生えている白い毛を判断材料にして名を探すと,どうやらナシケンモンらしいです。食草についてはたいへん適応性があって,いろんな草や木の葉を食べるということです。