ホトトギスの花の咲き方はおもしろいなあと感じます。多年草なので,一株植えるとどんどん殖えます。どんどん殖えるので,花がわんさか咲きます。これだけ花がさくのだから,相当結実するだろうと思うのですが,それがさっぱりなのです。株は頑固なほどに丈夫です。株がしっかりしているのだから,実がほとんどならなくてもよいのです。
その代わり,他家受粉で結実することを理想としているはずなので,ときに実ができる程度でじゅうぶんなのだと思われます。大した度胸の持ち主です。
花が開き始めました。色でアピールしているのでしょう,わたしの花では匂いはまったく感じません。
花弁がパァーッと開きました。花弁は6枚。1つおきに同じ大きさの花弁が配列されています。花弁根元にある黄色い斑点は,蜜源に昆虫を誘うための戦略と思われます。
真上から見ましょう。花弁の大きさ・かたちの配置がよくわかります。オシベは6本。メシベ先の柱頭は3つに分かれています。ホトトギスの花は基本数が3なのです。
オシベはメシベを包むようにしてあります。その先,葯を見ると,花粉が見えます。あふれるほどの量には見えません。ずいぶん控えめだなあと感じます。
オシベは役目を果たすと,メシベから離れて落ちていきます。
すると,メシベの根元にある子房が現れます。
この中に胚珠が入っているので,確かめてみました。部屋は3つに分かれていて,1つの部屋に行儀よくたくさんの“種子の赤ちゃん” が並んでいます。
でも,ほとんど結実せずに落下します。わずかな数だけ熟しても,ずいぶん多くの種子ができるので,そう慌てる必要はなさそうです。
運よく受粉が成った子房がありました。確かに生長しています。観察を続けていきます。