自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その253)

2013-08-04 | ジャコウアゲハ

8月4日(日)。

朝6時,植木鉢の側面壁で蛹になっていた個体がまさに羽化近しといった感じでした。しかし,成り行きを見るわけにはいきません。というのは,7時には,年中行事になっている集落共同墓地の清掃に出かけなくてはならないからです。それで短時間だけ個体の状態を観察しておくことにしました。結果,びっくりするような事実が見えてきました。

蛹の皮を通して体液がずいぶん漏れ出ていたことです。赤色がかった液があちこちから滲み出て,膨らんでいます。筋にもなっています。これまでにこんなに多くの体液が出ているのを見たことがありません。痛々しいといえばそうでもあるし,いかにも,羽化が近いことを物語っているように思われました。

それで,「まあ,仕方ないか。作業をしている間に羽化するだろうけど……」と思いながら出かけたのでした。

8時に帰って,再び個体を見ました。やはり羽化していました。時間が経ったらしく,翅はすでに伸びていました。わたしが出かけて間もなく羽化したのでしょう。

後に残された殻を見て,納得できた点があります。腹の半分が赤っぽい色をしている理由です。これまで何度も何度も観察してきて,てっきりそれは個体の個性だろうと思っていました。しかし,そんな単純なものではありませんでした。じつは体液が溜まっていたのです。爪楊枝の先を入れて確かめると,赤い体液が付着しました。

滲み出した体液と,羽化後の殻に残された体液とは同じ成分でしょう。この二つが結び付いて,羽化するのはたいへんな変化なのだなあと改めてこころを動かされたのでした。それにしても,これまで,殻に残った体液の正体を確かめなかったのはうかつでした。

羽化を終えたばかりの成虫は,口吻を伸ばしてウォーミングアップを繰り返していました。これを見届けて,わたしは『青少年のための科学の祭典』に出かけました。

 

 


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