自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

リーダー性に見た慮り度

2020-04-22 | 随想

国民,とくに若者に向けて外出自粛のメッセージを届けようと,首相が発信したツイッターが大いに波紋を呼びました(呼んでいます)。内容は,私邸で愛犬とたわむれてくつろぐ姿も入れ,歌手・俳優の星野源さんの動画と合わせて紹介するというもの。

反応には「いいね」以上に,批判・反発が圧倒的に多かったとか。貴族気取りが,現場で汗水を流して動いている人や,家庭にいてもゆっくりなんかしておれないじれったさを抱えた人たちの気持ちを逆なでにしたのです。

動画の内容に無神経さを感じた人は,わたしも同様で多かったはず。雑巾を手にしているとか,トイレ・お風呂掃除をしているとかだったら,まだしも。

事あるごとに「医療関係者をはじめとしていとわずに全力で……」とメッセージを発しながら,庶民の生活感覚に思いを馳せるだけの慮りが見えません。身を切るような現場の悲痛さ,生活実態を理解しようする姿には程遠いのでは? いのち最優先のリーダーだったらなあ。

この出来事から考えたことを少しばかり書き留めておきます。

 

その1。民主国家ではリーダーは庶民の声を見失っちゃダメ。

首相の側近といわれる人が動画作成・発信に関わっていると想像できます。その人の慢心ぶりが見えて来ます。ただでさえ,森友問題,サクラを見る会,ヤジ問題等々,その驕りぶりが批判されてきた経緯があります。慎重な言動が求められてる中,どうして,みんなで多くの国民の共感が得られる内容に仕上げられなかったのでしょうか。庶民感覚との遊離が激しいですね。懲りない皆さんに見えます。

その証拠に,批判が巻き起こっとき官房長官はこれには一切コメントせず,開口一番がこんな説明でした。

「ツイッターで確認できる範囲では過去最高の35万を超える『いいね』をいただくなど、大きな反響をいただいており、多くの皆様にメッセージが伝わることを期待している」

首相を支える屋台骨なので,わからなくはありませんが,血の通わない紋切り型の答弁にわたしは「?」。自分(たち)に都合のよい部分だけを切り取る手はよくある話(後日,やむなく「批判の声は承知しています」と言わざるを得なかったのですが)。

 

あるネット調査の質問「コラボ動画」,あなたはどう思う?(47082票)」に対する結果は次のとおりです。

  • 問題がある  79%
  • 問題はない  18%
  • どちらでもない 3%

官房長官の弁は庶民の多くの思いとひどく乖離しています。リーダーは誠実で,信頼できる資質の持ち主であってほしいもの。明治時代,足尾鉱毒問題と真正面から向き合った気骨の政治家田中正造の義憤をついつい思います。

                           (つづく)

(付記)写真は本文と関係ありません

 

 


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