種芋の植え付けには深底の大型プランターを準備します。高さは30cmもあれば上々。芋を2個,30cm間隔で植えることにして,横幅は70cmあればじゅうぶんです。
以下,作業手順にしたがって解説していきます。なお,露地栽培法をそのまま応用することにして話を進めていきます。
① 水はけと通気をしっかり考えておく
畑は自然に排水できますが,プランターはそうはいきません。排水用の穴が詰まっていないか,確認しておきます。そのうえで,鉢底用石があれば敷き詰めておけば安心です。水はけ・通気が悪いと根腐れを起こしたり,病害虫が発生したりしやすくなります。
② 薄く土を入れる
厚さは5cmぐらいでいいでしょう。わたしが使う用土は畑にあるもので,とくべつに肥料を入れたものではありません。土を入れた後の状態は,露地栽培に当てはめると畝の中央に溝を掘った直後と同じです。
③ 堆肥・化成肥料を入れる
元肥を施肥します。これが基本的な肥料になります。はじめから培養土を入れる場合は,この必要はありません。
④ 間土を入れる
③を終えたあと,直に種芋を置かないように。土を5cmほど入れ,肥料分と種芋との間の緩衝地帯とします。これを“間土”と呼んでいます。ここまでで底からの高さは15cm程度です。
⑤ 種芋をのせる
種芋を置くとき,ふつうは切り口を下側にします。目の部分は上側になります。その方が,地中に浸み込んでくる雨水などの影響を受けにくく,結果腐りにくいからです。芋を2つ置く場合は,間隔が少なくとも30cmは必要です。種芋の外側にも隙間がないと生育が抑えられてしまいます。種芋の周囲に15cm程度土がある,といえばいいでしょうか。ジャガイモの茎は驚くぐらい伸びるのでそれだけの空間を予め確保しておきます。
⑥ 覆土をする
種芋の姿がすっかり見えなくなるぐらい,土を入れます。これを“覆土”と呼びます。目安はおよそ5cmです。
⑦ プランターを所定の場所に置く
野外なら灌水をしなくても,雨が降ったりして適度に湿り気が補給されます。ベランダだと,わずかに灌水しておけば大丈夫。
以上が作業手順です。今後3度にわたって追肥及び土寄せ作業をします。したがって,新たに土を高さ10cm程度加えることになりますので,プランターの側面に余力があるか確認しておいてください。1カ月もすれば芽が地表に現れてきます。厳密にいえば芋の目から芽が出るのを“出芽”と呼び,種子から芽が出る“発芽”とは区別してことばが使い分けられています。それに沿って,本記事でも両者を使い分けることにします。では,出芽をたのしみに待ちましょう。
なお,今回はとくべつにもう1つ新品種「はりまる」を4個植えました。これは近隣にある大学農場で育種されたもので,果実がほぼ確実に生る形質を持っているそうです。今後市場に出回る可能性があるようで,一足先に譲り受けました。いただいてから日が経っているために,すでに出芽してストロン(匐枝)が伸びています(下写真)。それに,出芽に使った養分だけ芋が貧弱になって,シワだらけ。地中ではストロンの先に養分が蓄えられてイモが形成されていきます。