自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

「コットン紙,できませんか」(8)

2021-05-03 | 野草紙

コットン100%の紙だけがコットン紙と呼ばれています。すこしでも他のものを含んでいると,そうは呼ばないとか。なかなか厳しい定義です。

この定義に沿って,わたしのような素人がコットン紙を漉こうと思うとなかなか厄介です。しかし,ほんのすこし他のものに手助けしてもらって,限りなくコットン紙に近い紙を漉こうと思えば,比較的たやすい話になります。それの含有率をできるだけ抑えるために強力な助っ人に頼ればよいのです。例えば和紙の材料がよいでしょう。思い浮かぶのは,わたしの住む地域なら裏山に生えるガンピ。それによく知られたコウゾです。

コウゾを混ぜたとき,この紙をどう呼ぶかはさておき,問題なのはこれがコウゾ入りコットン紙なのか,コットン入りコウゾ紙なのか,という点です。例えば,コットンとコウゾを9対1の割合で混ぜたとき,9割コットン紙か,1割コウゾ紙か,です。5対5だと,どうなのか。1対9なら? もう境目がなくなります。要は「主役はどちら?」という話です。

そうなると,できた紙に混合比の表示がなければ関心をもつ人には不親切な話になります。商品ならなおのことです。

そんなことを思いつつ,コウゾ入りのコットン紙を漉くことにしました。コウゾは紙の強度を保つだけのわずかな量にとどめます。まずは1割以内をめざして。

材料のコットンは,今回は真っ白な洋綿。コウゾは手漉き和紙を再生して使いました。

打解・叩解後,水に溶いたコットン繊維はダマをあちこちにつくっています。大きなもの小さなもの,様々です。

 

粘剤を入れてしばらくかき混ぜると,繊維の束や繊維が均一に広がります。粘剤の威力が見えて来ます。

 

ここまで来ると,前回の和綿と同じようにつくれば大丈夫。コットン成分100%の純粋紙と,コウゾを混入したコットン紙の二種を漉くことにします。そして,水切りは手で加圧し,乾燥は自然任せとアイロン使用の両方でいくことにします。

 


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