ヤマトシジミの孵化全容を見届けるチャンスに恵まれました。しごとが休みということに加え,昼間の出来事だったので,幸いしました。
9月9日の記事で取り上げた果表面の卵が,そのチャンスをプレゼントしてくれました。やはり,表側に卵が産み付けられていたのが功を奏しました。
果は,そのときはもう萎びていました。茎に付いた状態で観察すると,卵の中に黒っぽい影が見えました。たぶん幼虫の頭部だろうと判断して,果を採集。そうして変化を見ていくことにしました。
卵の直径は1mmよりずっと小さいのですが,部分拡大すると,確かに頭部らしい影が見えます。
しばらくすると,卵の円周に沿って蓋部分が切り開かれ始めました。その奥に,頭が見えます。ここを出発点にして時間をカウントしていきます。
10分後。切り開かれた溝は全体の半分になりました。頭が動いているということは,からだ全体が回転しているということです。
18分後。ほぼ溝が切り開かれました。その作業は,まるで缶詰の蓋を切り開くのとそっくり。
20分後。蓋を切り終わると,幼虫が卵から出始めました。休むことなく動作は続いていきました。
22分後。出終わると,ほんのしばし殻の縁に取り付いていました。
28分後。卵から離れていました。このときの体長は0.9mmです。これで観察はおしまいです。幼虫が果に付いたままカタバミの株に置いておきました。
ヤマトシジミの幼虫の誕生もまた,わたしには感動物語でした。