次に、SARS-CoV-2の複製サイクルの特徴を、ウイルスのタンパク質にたいする抗体を使用して調べています。
SARS-CoVの構造タンパクと非構造タンパク(nsp)に対する抗血清が、SARS-CoV-2のタンパク質と交差反応をした様子。
SARS-CoV-2を感染させたVero E6細胞を、12時間または24時間後に固定し、抗血清で標識し、免疫蛍光法で観察した図。青が細胞核。
(a) nsp4緑、dsRNA赤 (b) nsp4緑、Nタンパク赤 (c) nsp3 緑 (d) nsp13 緑 (e) Mタンパク 緑
Bar is 25 µm for (a) and (b); 100 µm for (c), (d) and (e).
ウイルスの非構造タンパク質(nsp)、構造タンパク質、そしてウイルス複製オルガネラの微細構造の変化は、SARS-CoVとSARS-CoV-2とでは、ほぼ同じでした。
VeroE6細胞での複製速度は、この二つのウイルスで、同等でしたが、最終的な感染力は、SARS-CoV-2の方が50倍小さくなっていました。
感染力は小さいけれど、SARS-CoV-2の方がRNAの合成が早く始まり、また最終的な合成RNAの量はも多いという事でした。
これが示唆するのは、SARS-CoV-2にウイルスの構築や成熟の点で問題があるのか、ウイルスと宿主の相互作用が異なるためではないかと、考察しています。
電顕で、SARS-CoV-2にスパイクが少なかったことから、この問題をもっと追及する必要があるとしています。
下の写真で、SARS-CoVには、スパイクがみえますが(n)、SARS-CoV-2にはスパイクがみえません(r)。
CDCの論文でも、臨床サンプルをHuH7細胞で培養すると、スパイクがなくなっていましたが、これも併せて考えると、何か仮説が立てられるかもしれません。
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