ここで、教科書に書いてある程度に免疫反応/免疫応答について説明してみたいと思います。
免疫反応の分類として、自然免疫と獲得免疫に分ける場合と、液性免疫と細胞性免疫に分ける場合があります。
自然免疫は、異物に対して非特異的に働くもの
獲得免疫は、異物(抗原)に対して特異的に働くもの
液性免疫は、抗体(IgG,IgE,IgA,IgMなど)を介した免疫反応
細胞性免疫は、細胞を介した免疫反応
細胞性免疫の細胞には、
食細胞(マクロファージ、好中球、樹状細胞)
細胞傷害性T細胞(CTL、CD8+T細胞)
ナチュラルキラー細胞
T細胞
があり、この中で、
食細胞とナチュラルキラー細胞が自然免疫に属し、
細胞傷害性T細胞(CTL)が獲得免疫に属します。
つまり、細胞傷害性T細胞は、異物(抗原)に特異的に作用する細胞なので、獲得免疫かつ細胞性免疫ということになります。
抗体は、獲得免疫かつ液性免疫、ナチュラルキラー細胞は自然免疫かつ細胞性免疫。
そして樹状細胞とT細胞(Th1とTh2)が、自然免疫と獲得免疫を繋ぐものになります。
次に、Th1とTh2に関して説明します。
1999年の論文の図と、2011年の論文の図を比較してみます。
1999年の論文では、Th1が細胞性免疫とIgG2a、IgG3、Th2がIgE、IgG1を産生するように説明されています。
2011年の論文になると、Th1はCTL(細胞性免疫)、Th2が抗原(液性免疫)となっています。
2009年の審議会でのTh1とTh2の議論は、2011年の論文の図と同じ解釈になっていますが、GSKの2009年の論文で引用したMLPがTh1であると書かれた論文は1999年の論文の図のようにTh1とTh2を解釈したものでした。
GSKがサーバリックスの承認のために提出した資料で、アジュバントAS04がTh1型の効果を示すという記述のTh1は、細胞性免疫のことではなく、IgG2やIgG3を産生することだった可能性があるわけです。
その後のGSKの論文からも、AS04がアラムに比較してIFNγを増加させているわけでもなかったことから、MPLが細胞性免疫を上げることはないことは明らかになっています。
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