2011年の論文の図をもう一度みてみます。
この図の細胞性免疫は、一番左側です。
下にある黄色いDendric Cell (樹状細胞)は、CD8(CD8+T細胞)を活性化するためには、抗原を赤い色で示されたMHCクラスIに載せて提示する必要があります。
このMHCクラスIに載る抗原は、樹状細胞の中で作られた抗原に限られています。
一方、CD4(CD4+T細胞)を活性化するためには、水色で示されたMHCクラスIIの抗原に載せて提示しますが、このMHCクラスIIに載せる抗原は、貪食されたもの、つまり、樹状細胞が細胞の外にある抗原を貪食して取り込んだものです。
樹状細胞の抗原提示経路の説明図ですが、MHCクラスIとMHCクラスIIは、細胞の外と細胞の中の抗原を厳密に区別しているのです。
ウイルスが樹状細胞に感染すると、細胞内で増殖するので、ウイルスタンパクがMHCクラスIに載せられて抗原提示され、細胞傷害性のCD8+T細胞が産生されます。
上の図の左側は、細胞の外にある抗原を、エンドソームに入った形で取り込んでいますが、エンドソームの中は、細胞の外と考えられます(人の食道や胃の中が身体の外であるのとちょっと似ています)。
上の図で、ERの中のMHCクラスIIには、実際には蓋(インバリアント鎖)がしてあって、抗原が載らないようになっています。
つまり、細胞性免疫を上げるためには、抗原特異的なCD8+T細胞を産生する必要があり、そのためには、MHCクラスIに抗原を載せる必要があり、そのためには、樹状細胞内で抗原を産生する必要があるわけです。
抗原が細胞の外にあるだけでは、貪食されて、MHCクラスIIに載せられ、CD4+T細胞が産生され、抗体ができるだけということになっています。
(ただし、特殊な例としてクロスプレゼンテーションという機構もあります)
ですから、MPLがTLR4に結合しても、細胞の中で異物が作られない限り、細胞性免疫を上げる要素はないということです。
次回は、この細胞性免疫を上げるために作られたCIN治療ワクチンについて説明します。
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