菅首相が、日本学術会議が推薦した会員の任命を理由も示さずに拒否した問題で、理由の開示と拒否の撤回を求める声が学術界を中心に急速に広がっています。日本学術会議の総会が終わった3日の土曜日。日曜日を挟んだ月曜日の5日という早い段階で、社会科学系で日本最大規模の学会といわれる日本社会学会は「このような決定は研究者の自由闊達な研究活動を委縮させる」とする理事会声明を発表しました。教育関係で最大規模の学会である日本教育学会は7日に緊急声明を発表。
東大では加藤陽子教授(歴史学)と宇野重規教授が任命を拒否されました。加藤教授が在籍する同大大学院人文社会系研究科は6日、大西克也科長名で、加藤教授は優れた研究実績を持ち、内閣府などの公文書管理に関する委員会委員を長く務め、学術会議でもその問題に取り組むことが期待されていたのに、理由の説明もなく任命されなかったのは「大変残念」という遺憾のコメントを発表しました。大西研究科長は「これは研究科教授会の総意として出したもの」と言いました。宇野教授が(政治学)が所属する同大社会科学研究所は佐藤岩夫所長名で5日に、「優れた研究又は実績がある科学者」であるのは疑いなく、学術会議から正式に推薦されたにもかかわらず任命されず、理由も明らかでないことは「誠に遺憾」とするメッセージを発表しました。また宇野氏が属する社会思想史学幹事会も優れた学者研究者としてメッセージが出されています。京大で任命されなかったうちの一人、芦名定道教授(キリスト教学)が在籍する京都大学大学院文学研究科の宇佐美文理科長は6日に、「由々しき事態」とのメッセージを発表しました。
法政大学学長、東京大学学長、各学会が9日までに抗議・声明を発表しています。(しんぶん赤旗10月10日記事の抜粋)